そこは地域のエコの中心地――ドイツのエネルギー・水道公社松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2009年04月21日 11時40分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

消費者サービスとエコ啓蒙

 公社の一般消費者向け窓口となるのが、メインストリート沿いの「消費者サービスセンター」だ。ここには相談カウンター、電気・ガス・暖房・水道器具の展示、省エネ啓蒙用の展示、グループ研修のセミナーホールなどがあり、数人の専従職員が勤務している。ただし、展示されている多数の省エネ機器はあくまで参考にしてもらうためのもので販売はしていない。センター内部は日本の電力会社が運営する「●●電気館」、あるいはガス会社の「●●ガス館」といった雰囲気だ。具体的な業務には次のようなものがある。

  • 引越しに伴う電気・ガス・水道の手続き
  • 省エネルギーに関するアドバイス
  • 省エネルギー対応機種の展示と情報提供
  • 家屋の改築に関するアドバイス
  • そのほか、エネルギーと水道に関する情報提供と啓蒙活動
展示されている省エネボイラー

 下写真のご夫妻は自宅のボイラー買い替えの相談に訪れたそうだ。1978年に設置したボイラーは最新の省エネ型に比べて排気ガス温度が高く、エネルギー損失も16%と大きい(最新の省エネ型は0%)。ボイラーの省エネ基準は改定のたびに厳しくなっており、ご夫妻の住宅のボイラーは間もなく付け替えなければならない。消費者サービスセンターでは、「どのようなタイプの省エネボイラー設置が可能か」「年間のエネルギー消費量はどの程度か」「公的補助はあるのか」といった質問・相談に乗ってくれる。

 「このショールームの展示品は、実際に動かして運転状況を観察することができます」とセンター長のバートさん(下写真)。キッチンのコンロや省エネ電球のスイッチを入れてエネルギー消費を観察でき、節水トイレも水を流せるようになっている。ほかの街の公社でも似たようなショールームを持つところはあるが、ここまで徹底した展示は珍しい。センターでは環境啓蒙活動も行っており、小中学校の課外授業での利用も多い。

消費者サービスセンターのカウンター

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