サービス開始から1年……nimocaはどこまで成長したのか?神尾寿の時事日想・特別編(2/3 ページ)

» 2009年05月13日 07時00分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

電子マネーの利用は堅調に伸びる

nimoca対応の自動販売機も登場し、電子マネーの利用環境は急速に整備されつつある

――電子マネーの利用状況はいかがでしょうか?

杉本 まず利用可能な店舗としては、商業加盟店が730店舗になり、引き続き増えてきています。一方、取引高については公開していませんが、我々のユニークな特長として「現金ポイント」のご利用が多いという点があります。

――それは電子マネーの取引高より多いということでしょうか?

杉本 はい。スターnimocaとクレジットnimocaでは、現金やクレジットカードでの決済でもnimocaポイントを付与していますから。一方で、お客様に貯めていただいたポイントは、そのほとんどが交通ICのSF※としてチャージされます。ですから、今後は(獲得ポイントを電子マネー化して利用することで)電子マネーの利用率も高くなっていくでしょう。

※SF……Stored Fare。カード内にチャージ(入金)された金額のこと。

――電子マネーの決済平均額はいくらくらいでしょうか?

杉本 平均決済額は800円前後です。交通IC系の電子マネーとしては高いと思います。ただこれは「自販機の利用が本格化していないから」という事情もありますが(苦笑)。nimocaでも自販機対応を始めたところ、利用の立ち上がりに手応えを感じていますので、決済回数が増える一方で決済金額は少し落ちるかもしれません。

電子マネーだけでなく、ポイントが充実しているのもnimocaの特長。街中には電子マネーチャージ機とポイント交換機が各所に設置されている

九州初のパーク&ライドも実現

――交通ICの最近の動向で注目なのは、鉄道利用と連携した「パーク&サービス」です。西日本鉄道でも、3月31日からパーク&ライドサービスに対応しましたね。

飯田 はい。パーク24さんにご協力いただき、「タイムズ春日原東町第3」駐車場で、nimocaと連携したパーク&ライドサービスを開始しました。nimocaの乗車履歴と連動し、1日200円の割引をします。ちなみに交通IC連携のパーク&ライドは、九州初の試みになります。

――今回、パーク&ライドの場所となった駐車場はどのような場所でしょうか。

飯田 天神から電車で10分ほどですが、住宅街ですね。駐車台数は16台ですので、規模感としては大きくないです。まずはパーク&ライドの手応えをつかみ、今年9月までに15カ所ほどまでパーク&ライド対応駐車場を増やしていきたいと考えています。

――西日本鉄道としてパーク&ライドに期待するところはどこでしょうか。

杉本 大きく2つあります。1つは「交通のシームレス化」、そしてもう1つが「nimocaの多機能化」ですね。

飯田 パーク&ライドはこれから力を入れてやっていきたい分野ですね。なぜかというと、通信ビジネスで言うところの「ラスト・ワン・マイル」の部分が、プライベート交通のクルマだからです。マイカーからの乗り換えや乗り継ぎを促すことで、公共交通の利便性がさらに高くなりますから。

――パーク&ライド以外の交通連携への考えはいかがでしょうか。

杉本 交通分野での展開につきましては、いくつかプランを考えています。例えば、九州他地域のバス会社への展開や、タクシーへの展開などです。

飯田氏 nimocaはもともとバスでの利用が重視されていたので、バスでのオートチャージや柔軟な割引ポイントへの対応など、バス会社に採用していただきやすい仕組みになっています。ですから、他地域のバス会社にも積極的に広げていきたいと考えています。

――バスでオートチャージ可能なので、バス路線中心の地域でも展開できるわけですね。

飯田 はい。しかも来年にはSUGOCA、はやかけん、Suicaでの相互利用化で、これらの地域との電車ともシームレス化します。

――使い勝手と将来の発展性の両面で、バス専業会社にとってもメリットが大きいと言えそうですね。

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