世界的な景気回復の遅れを懸念して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月23日 08時23分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8339.01▼200.72

<NASDAQ>1766.19▼61.28

<為替:NY終値>95.82-95.88

世界的な景気回復の遅れを懸念して大幅下落

 特に材料視されるような指標の発表もないと思っていたのですが、世界銀行の成長見通し引き下げを受けて、リスク許容度が低下、信用収縮懸念から安全資産への逃避が起こり、大幅下落となりました。金融株や景気敏感銘柄を中心に朝方から売りが先行、パニック的に売り急ぐ場面も見られました。原油や貴金属の相場も為替相場もより「安全な」資産への逃避の動きとなり、株式市場を売り急がせる要因となりました。

 節目と見られるダウ平均の8500ドル、ナスダック指数の1800もあっさりと割り込んでしまいました。ダウ平均はまだ8300ドル水準を保っており、また、ナスダック指数も今月初めの「窓」を埋めたところで何とか下げ止まってはいるのですが、調整が長引きそうです。ちょうど6月の決算を控えてファンドなどもリスクに対する見直しや持高調整をしているところでの「悪材料」であるだけに一気に大きな下落となったものと思います。ただ、実際には先行きに対する「懸念」が強まっただけで、足元の業績が悪化しているわけでもなく、いったんは反発となって来るものと思います。

 個別にはJPモルガンチェースやバンクオブアメリカなど金融株が大幅下落、アルコアなどの素材株やエクソンモービル、シェブロンといった石油関連銘柄も売られました。新型の携帯電話の売れ行きが好調と伝えられたアップルも堅調な始まりとなったものの地合いの悪さに押されるなど、センチメントの悪化で下げている銘柄も目立ちました。ダウ平均構成銘柄ではウォルマートストアーズやベライゾンコミュニケーションズが高く、「通信サービス」は業種別でも堅調となっていました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は円高や外国人売りにもかかわらず、好調な業績発表や景気の改善を示す経済指標などもあり、堅調となりました。TOPIXに算出に絡む持高調整の動きもあったようですが、特に混乱もなく、堅調となりました。過熱感も強いのですが出遅れ銘柄や割安感の強い銘柄を物色する動きは続き、先物にまとまった買いが入る場面では一時大幅高となるなど、地合いは強含みとなっています。

 米国株が大幅下落となったことから日本市場も売り先行となりそうです。為替も円高傾向にあり、世界的な景気後退もあって、輸出関連銘柄などには逆風となりそうです。また、資源エネルギー関連の石油株や商社株、非鉄株などは引き続き持高調整や見切り売りに押されることになりそうです。内需関連銘柄などがどこまで指数を下支え出来るかが注目されるところです。ただ、世界気的に景気の先行きに懸念があるとは言っても実際に悪化が鮮明になったわけでもなく、景気回復が遅れるということなので、リスク資産からの逃避の動きはあるのでしょうが、底堅さが確認できれば値ごろ感からの買いも入って来るものと思います。

 日経平均は最悪の場合でも今のところ9500円水準は割り込まないと思います。騰落レシオなどを見ても過熱感が強まっていることから、スピード調整となり、うまく行けば9700円前後か9600円台では下げ渋りとなって値幅の調整は終わり、あとは日柄の調整となって来るのではないかと思います。内需関連銘柄などの出遅れ感が強い銘柄や個別に材料含みの銘柄がどれだけ指数を下支え出来るかということではないかと思います。世界同時株安と言うような展開になりそうですが、底割れは回避できるものと思います。

本日の注目点

◇白川日銀総裁会見

◇5月の首都圏・近畿圏のマンション市場動向調査

◇5月の米住宅着工件数

◇5月の米卸売物価指数

◇5月の米鉱工業生産

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