ブログを印刷した新聞、読みたいですか?(2/2 ページ)

» 2009年06月30日 07時00分 公開
[竹林篤実,INSIGHT NOW!]
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ビジネスとして成り立つのか

 The Printed Blogのビジネスモデルは、広告収入をベースとしている。地域版をたくさん作るということは、その版に掲載される広告もエリア限定のものがメインとなるだろう。広告費は先に挙げたように安い。一番小さな枠が20ドルということは約2000円。これなら出しても良いかなと考えるスポンサーはいるだろう。

 だが、広告営業をどうするのか。同社のWebサイトを見れば、とりあえずはメールのやり取りからスタートするようだが、これで広告が集まるのだろうか。仮にマンパワーをかけて広告営業すれば、今度はコストが合うのだろうか。などと、いろいろな問題が浮かんでくる。

 基本的な収支は次のようになるようだ。まず印刷については、エリアごとに配布を担当する人が自分で印刷する。このとき使われる印刷機は約2万ドルもするそうだ。この高額初期投資は誰が負担するのだろう。

 皮算用では「週5日、日に2回の発刊で、広告収入は1ロケーションで1週間に3万6000ドルになる計算だ。ここから印刷費用、配布の人件費、記事や写真の使用許可料としてブログ筆者に収入の2割を支払う編集コストを差し引くと、1週間の利益は1000ドル」(同)となっている。

 年間ざっと5万ドルである。これが営業利益ということになるのだろう。ただし上記の記事を読む限りでは、経費に広告営業コストは見込まれていない。そこがちょっと頼りないというか、それで広告が集まるのか、といった懸念は残る。

面白いブログを記事にしてくれるビジネス

 ブログを紙に印刷して読む、というアイデアそのものはありじゃないかと思う。そんなサービスがあれば、使ってみたいなとぼんやり思っていてひらめいた。コンビニをキーステーションとして、ビジネスにならないだろうか。

 まずユーザーに、各自が関心を持って読んでいるブログを登録してもらう。「Googleリーダーに登録しているブログ全部」とかでもいい。可能ならば、ユーザーの関心を学習して「こんな面白いブログもありますけど、いかがですかい?」なんてリコメンドする機能があればもっとよい。

 このお気に入りリスト(たぶん毎日メールで届くことになるのだろう)から、今朝読みたいと思う記事を適当にチョイスする。できれば、今週のオススメ写真リストなんかもあれば、さらに良い。そこで「読みたい登録」をした記事と写真をメールで送り返すと(あるいはWebサイトで選択すると)、登録された記事が自動的にレイアウトされる。そのデータはコンビニの店頭でダウンロード&カラープリンター出力できる。

 仕上げのところを具体的にどうするかまでは考えていないけれど、これを無料サービスとする。収益は広告でまかなう。取りに行けるコンビニとなるとエリアが限定されるから、自動的にスポンサーも限定されるだろう。加えてユーザーは自分の関心(や属性なども)を登録しているのだから、それらにフィットした広告があっても良い。これならナショナルブランドの広告もありだ。

 このモデルは初期のシステム投資が相当巨額に上ると思うし、広告営業コストも必要だと思うので、採算ベースにのるかどうかは分からない。でも、そんなカスタマイズブログ新聞ならあってもいいんじゃないだろうか。「毎日コンビニまで取りに行くのが面倒」、という人もいるかもしれない。しかし通勤途中に寄るコンビはたいてい決まっているので、それほど面倒ではないかもしれない。(竹林篤実)

 ちなみにこの記事……あなたは紙でも読みたいと思いますか?

 →竹林篤実氏のバックナンバー

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