利益確定売りや景況感の悪化を受けて軟調だが底堅い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年07月29日 08時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9096.72 ▼11.79

<NASDAQ>1975.51△7.62

<為替:NY終値>94.5-94.56

利益確定売りや景況感の悪化を受けて軟調だが底堅い

 住宅価格指数は予想を上回り、景気回復を裏付ける格好となりましたが、消費者信頼感指数が前月より低下、予想を下回ったことや前日までの上昇の反動に加え、原油など商品市況も利食い売りに押される格好となり、一時、ダウ、ナスダック共に軟調となりました。個人消費の回復が鈍いことから景気回復そのものにも懐疑的な見方もあり、リスク回避の動きも若干見られ、下げ幅を広げる場面もありました。それでも、企業業績の改善や回復、住宅市況の底入れ感から景気底割れ懸念とまでは行かず、最後は買戻しも入ってダウ平均は小幅安、ナスダックは堅調となりました。

 リスク資産を極度に増やすような動きにはならないのですが、逆に極端にリスクを嫌う動きもなくなって来たようです。企業業績の回復が見込まれることから個人消費や雇用に不安は残るもののそれほど弱気にはならないということのようです。ただ、商品市況などの一進一退の動きを見てもわかるように、好材料を大きく取り上げて買い上がるというよりは慎重に利益を確保しながら買っているという雰囲気です。少なくとも底割れ懸念はなく、引き続き利益確定売りに押されながらも経済指標や企業業績の発表などに反応しながら強含みの展開が続きそうです。

 個別には朝方発表した4−6月期決算で売上高が予想を下回ったUSスチールが下落、決算は増益となったのですが、引当金の増加が嫌気されてドイツ銀行が軟調、連れてJPモルガンなど金融株の一角が軟調となりました。メルクやファイザーといった医薬品株が売られ、原油価格の下落を受けてエクソンモービルやシェブロンなど石油関連銘柄が軟調となりました。一方、景気回復期待からGE(ゼネラルエレクトリック)やデル、マイクロソフトといったハイテク銘柄の一角が高くなりました。住宅価格の下げ止まり感を好感してホームデポやバルトホームズなど住宅関連銘柄は堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の相場は9連騰の後ということもあり、上げ一服となりました。TOPIXは高く、出遅れ感が強いような内需関連銘柄や金融株は堅調となり、先駆して上昇となったハイテク銘柄などが上げ一服となりました。外国人も買い越し基調ということもあり、信用収縮懸念が薄れていることや決算発表が本格化する中で売り急ぐ動きもほとんどなく、目先的な過熱感が強い割りには底堅い展開となっています。

 本日の日本市場は米国市場がまちまちとなったことや円高に振れたことから上値の重い展開となりそうです。ハイテク銘柄など輸出関連銘柄を中心に利益確定売りに押され、指数の上値を押さえる格好となりそうです。一方で昨日のように内需関連銘柄やディフェンシブ銘柄など出遅れ感が強い銘柄、割安感が強い銘柄は底堅い堅調な展開となるものと思われ、決算発表に一喜一憂しながら全体としては底堅い展開となるのではないでしょうか。原油価格や貴金属価格が軟調となったことから資源株やエネルギー関連銘柄も一服となりそうです。

 引き続き日経平均の10000円を意識した動きとなりそうです。月末を意識して売り込みにくく、かといって逆に買い上がるには材料不足ということで、底堅いながらも上値の重いような展開になりそうです。日経平均が10000円を超えたことで達成感が出て、再び下値を試し「ボックス相場」の上限であるということを確認してしまうのかあるいはしっかりと10000円台を保ち、ボックス相場を離れて水準訂正となるのか、正念場というところでしょう。

本日の注目点

◇6月の商業販売統計速報(経産省)

◇米地区連銀経済報告

◇6月の米耐久財受注

◇決算・4−6月期:ホンダ(7267)、日産自動車(7201)、新日本製鉄(5401)、東芝(6502)、新日本石油(5001)、住生活グループ(5938)、住友金属鉱山(5713)、ファナック(6954)、村田製作所(6981)、住友電気工業(5802)、西日本旅客鉄道(9021)

◇決算・4−6月期:米タイムワーナー、コノコフィリップス、独ダイムラー、仏サノフィ・アベンティス、欧州アルセロール・ミタル、台湾UMC

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.