石原慎太郎、筑紫哲也、猪瀬直樹……彼らを批判したら、こんなことがあった上杉隆×ちきりん「ここまでしゃべっていいですか」(1/3 ページ)

» 2009年07月31日 11時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 全10回でお送りする、ジャーナリスト上杉隆氏と謎の社会派ブロガー・ちきりんさんの対談5回目。これまで上杉氏は石原都知事や田中真紀子氏、猪瀬直樹氏などを批判してきた。しかし彼らを批判することで、さまざまな圧力を受けてきたという。そんな圧力に対し、上杉氏はどのように対応してきたのだろうか?

 一方のちきりんさんは自称“混乱Lover”で、とにかく混乱している状況が大好き。今、彼女が注目しているのは、縮小を続ける新聞について。“変わらない”新聞について、ちきりんさんは紙面の構造改革を訴えた。

敵の敵は味方

上杉 以前、石原都知事を批判する記事を書いたことがありましたが、記事を読んだ石原さんは激怒し、僕のところに内容証明郵便を送ってきました。「裁判になるかもしれないな」と思ったら、石原さんを嫌っている人からたくさんの情報をいただいた。

ちきりん へえ〜。

上杉 次に田中真紀子さんの記事を書くと、田中さんを批判している人が、彼女に関するいろいろな情報を教えてくれました。そして田中さんを叩いている記事を読んだ石原さんが、こんなことを言ってくれました。「君もたまにはいい記事を書くな」と(笑)。まさに“敵の敵は味方”ということですね。

 ただ政治家はまだましで、ひどいのは記者。彼らは自分の名前を出されることがほとんどないので、批判されると大パニックに陥ってしまう。例えば筑紫哲也さんのことを書くとき、彼に取材を申し込んだのですが、拒否されてしまった。

 その後、締め切りを延ばして返事を待っていたのですが、時間切れで結局記事にしました。そうしたら、彼から「曇り切った文章だ」と批判された。具体的に何が曇っているのか、よく分かりませんでしたが……。

 猪瀬直樹さんの場合もインタビューを断っておきながら、記事にしたあとで圧力をかけてきたのです。しかし僕は、その圧力をかけてきたことも記事にしたんです。「圧力かかりました」と(笑)。するとまた圧力をかけてくる。だけど「またまた圧力かかりました」と書く(笑)。さすがにそれ以降、圧力はかからなくなりましたね。いまは猪瀬さんと月1回酒を飲むほど仲良くなりました。

ちきりん これまで上杉さんのような手法をとってこられた方って、あまりいないような……。

上杉 僕のようなやり方をしようとすると、まず周囲の人が止めに入りますね。「お前、あの人を攻撃すると大変だぞ。大手出版社○○賞の選考委員だから」と。けど、僕は「ご心配無用です。僕、まったく賞には興味ありませんから」と、言ってきたんです。

 それでも周囲の人もしつこくて「そうは言っても、賞はほしいだろう?」とささやきかけてきます。そういったときは「そうですね 大宅賞は欲しいですね〜。でも、大宅壮一賞ではなくて、“大宅映子賞”がいいです。ジャーナリズムではなく、ゴルフの賞、作ってください」と(笑)。

 当たり前ですが、僕は大宅壮一さんのことを知らないし、会ったこともない。賞なんて狙うとペンが鈍り、ろくなことがない。無冠で自由が一番です。

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