宮崎あおいの二面戦略 一眼デジカメ「オリンパス・ペン」それゆけ! カナモリさん(1/3 ページ)

» 2009年08月10日 07時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年8月7日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


 モノクロームのスローモーション映像の中、宮崎あおいがカメラを構えて微笑む。オリンパスのデジタル一眼カメラ「オリンパス・ペン E−P1」のCM。現在テレビに大量投下中だ。デジタルカメラとして復活した往年の名機「ペン」。このCMの狙いは、戦略は、どんなものだろうか。

 「オリンパス・ペン」というカメラの名前にノスタルジーを覚えるのは、中高年のカメラマニアだ。「Since1959」とCMのコピーにもあるように、初登場は1959年。東京オリンピックの5年前、高度成長期前期である。

 当時のカメラは高価なライカが憧れの的であったが、その40分の1、6000円という価格を実現。さらにまだまだフィルムが高かったため、35ミリフィルムの1枚のサイズの中に2枚撮影できる「ハーフサイズ」を確立した画期的なカメラであったのだ。

 その後も様々な改良が重ねられ、1963年には世界初、世界唯一のハーフサイズの一眼カメラとしてリニューアルした。それが今回のデジタルカメラ化されたペンのコンセプトとなっているのだ。

 中高年にとっては思い出深いカメラで、一度は手に取った人も多いはずだ。40代の筆者がカメラ少年だったとき、まだ中古機が多く出回っており、それを愛機としていた仲間も多かった。「ペン復活」と聞き、古き良き昭和の思い出をよみがえらせ、興奮している中高年の愛好家も、少なくないはず。

 また、イメージキャラクターとして宮崎あおいを起用しているのが、絶妙だ。

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