さて、そんな状況でありながら、なぜ若い世代は選挙に行かないのか? 20代とか30代の人は選挙に行かないから、自分たちの世代の意見が全く通らなくなってしまう。
ちきりんが1つ関心があったのは「世代別投票率の格差の変化」です。若い人の方が投票率が低いのは今に始まった話ではないはず。そもそも仕事に遊びに忙しい世代の投票率が低いのは、ある意味当然です。ただ、それが昔よりひどくなっているのかどうかに関心があったのですが、下図のようなデータを教えてもらいました。
これによると、やはりもともと20代の投票率は低いのですが、昭和58年(1983年)から20代の投票率だけが劇的に下がります。そして、その後10年遅れて30代も下がり始めます。これらは同じ世代の人です。
この政治に関心をもたなくなった最初の世代は、「学生運動が終わった後に大学に入学した世代」ですよね。1970年代の前半は“学生や大学が政治に深く関わっていた最後の時代”ですから、それが終わった後、急速に若者が政治に関心を失ったことがよく分かります。
では政治に関心を持てなくなった若者は何によって自分たちの問題解決を図ろうとしているか。昔は「デモで世の中を変えよう」という感じでしたが、今はどちらかというと「個別に努力&工夫をして難局を乗り越えよう」という感じですよね。
例えば、財テクに熱心な人は昔に比べて圧倒的に増えているでしょう。また、昔は子どもを生んでから「貧しいから大学にはやれない」という思考の順番でしたが、今は「大学にやれる経済力がないから子どもを生まない」というように変わっている。
「政治を変えて生きやすくする」というより、「自分の行動を変えて自己防衛しよう」というように変わっていると思います。
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