著者プロフィール:山田美帆(やまだ・みほ)
カラーコンサルタントRosa代表。大学時代から、ピアノ講師・通訳・コンパニオン・モデルなどのタレント活動をしながら、インテリアやカラーや美容やマナーの学校に通い、資格を習得。その後各種サロンや美容スクール講師・派遣のマナー講師を経て、カラーコンサルタントRosaを起業。
ベルリンで開催された世界陸上。ウサイン・ボルト選手が100メートル走で9.58秒の世界新記録を出したことには驚きましたが、人間はどこまで速く走ることができるんでしょうね。
ところでその世界陸上、皆さまは競技場に、今回特別な工夫がされていることに気付きましたか? それはトラックが「青」色をしてることです。従来のトラックは赤茶色だったのに、こういう鮮やかな「青」になったのはなぜでしょうか?
それは「青」の持つ色彩心理が活用されているからです。「青」は人の心を落ち着かせ、集中力を高める色です。だからトラックに使用することで、リラックスして冷静に走ることができるようです。
通常スポーツといえば、興奮状態にしてやる気を出させる色である「赤」が用いられたほうがよさそうですが、走ることに関してはこれは当てはまらないようです。
以前、「笑顔で走ることは足を早くする1つの方法」と小耳にはさんだこともあります。それは、笑うことで緊張がほどけ、リラックスして走れるからということだそうですが……。「青」の効果と同じですね。
色は意識するしないに関わらず、確実に人に影響を与えています。今回このような好記録が出たのも、青いトラックと関係があるかもしれませんね。
この青いトラックは、ベルリンだけではなく、日本国内のいくつかの競技場でも使われているようです。世界陸上をきっかけとして、今後ますます増えるでしょうね。
スポーツではこのように色彩心理が用いられることは多いです。
小学生に白黒のハードルと、黄色いハードルの両方を跳んでもらって、それぞれのタイムを計ってみると……、黄色いハードルのほうが、白黒に比べて2〜5%タイムが良かったそうです。しかも、同時にハードルを倒す人の割合も減ったとか……。これは「黄色」がちょうど網膜に焦点の合う色なので、視点を集中させるのに最適な色だからです。
また前述のように、「赤」は交感神経を刺激して、心と体を興奮させ、闘争心を旺盛にするので、アメフトの選手のロッカールームに用いられています。Jリーグでも、「赤」い色のユニフォームを採用しているチームが年間王者に輝く確率が高いように思いませんか?
最近ゴルフ業界でもピンクのウエアを着ている人がたくさんいますね。ピンクは周りの人の心を柔らかにし、味方につける色です。また、リラックスした状態で意欲的に何かをしようという時に最適な色でもあるのです。
このように色は奥が深いものです。私たちの身の回りにはたくさんの色があふれていますが、その心理を知ることによって、上手に生かせたらいいですね。(山田美帆)
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