経済指標の好転にも関わらず金融機関に対する懸念が強まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年09月02日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9310.60▼185.68

<NASDAQ>1968.89▼40.17

<為替:NY終値>92.9-92.96

経済指標の好転にも関わらず金融機関に対する懸念が強まり大幅下落

 前日に引き続き手仕舞い売りから売り先行で始まった後はISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数が予想を上回り、好不況の境目である50の水準を抜けてきたことや住宅関連指標の好転から堅調となりました。先日までの下落の反動もあり、買戻しなどもあったようですが、保険大手の投資判断の引き下げが伝わり、金融株が売られ、高値警戒感も強まったことや出口論の台頭を警戒する動きなどから売り急ぐ展開となり大幅下落となりました。原油価格の下落なども下げを加速させる要因となったようです。

 ドルが比較的底堅く堅調であり、債券市場もしっかり(金利は低下)していることから、株式市場や商品市場のリスク資産が安全資産に逃避したものと思われます。一方で景気回復を示す指標が見られることから、今後はゼロ金利解除なども取りざたされるものと思われます。所謂、金融緩和の「出口」を探る動きになると、再び景気回復の度合いと株式市場の回復の度合いを計ることになるものと思われ、金融相場から業績相場への移行の過程で今後FOMC(公開市場委員会)まで波乱含みの展開が続くのではないかと思います。

 個別には投資判断の引き下げのあったAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が20%超下落、バンクオブアメリカやファニーメイ(連邦住宅抵当公社)やJPモルガンチェース、アメリカンエクスプレスなど金融株が軒並み大幅下落となりました。ダウ平均採用銘柄ではウォルマートが小幅高、コカコーラやジョンソンアンドジョンソンなどディフェンシブ銘柄が小幅安となっただけで、インテルなど業績好調とされたものも軒並み軟調となりました。新車販売が2カ月連続で増加したフォードも軟調となりましたが、投資判断の引き上げのあったRIM(リサーチ・イン・モーション)は高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が軟調なことや円高を嫌気する動きから軟調な始まりとなりましたが、中国のPMI(購買担当者景気指数)が予想を上回ったことや日本の新車販売が好調となったことなどから堅調となりました。上値を買い上がるほどの材料もなく上値も重いのですが、10500円を抜けて堅調な引けとなりました。

 米国市場が大幅下落となったことから、日本市場も再び下値を確認するような展開になりそうです。景気の腰折れなどが指摘されたわけでもないので、特に敏感に反応することもないのでしょうが、影響は免れないと思われます。為替も対ユーロなどで円高進展となっているので、輸出関連銘柄などは業績回復期待で買われた分、利益確定売りや戻り売りがかさむものと思われます。一方で、出遅れ感が強い内需関連銘柄の一角などは消去法的に物色されるものと思われ、指数の下支えとなるかどうかは注目されます。幕間つなぎとして民主党関連銘柄やインフルエンザ関連銘柄が物色されるのではないかと思います。

 10500円絡みの動きが続いており、本日も下値を試す動きとなりそうですが、10400円程度で下げ止まるかどうかが注目されます。節目とすれば10400円水準を割り込むと10100円台半ばから10200円台半ばとなり、10000円を意識する水準までは下落とならないのではないかと思います。引き続き「鯨幕相場」でのもみ合いが続いているものと思われ、下値の節目では買いも入って来るのでしょう。

本日の注目点

◇8月のマネタリーベース(日銀)

◇5−7月期決算:伊藤園(2593)

◇米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公開(8月11−12日分)

◇欧州連合(EU)加盟国財務相による20カ国・地域(G20)準備会合(ブリュッセル)

◇4−6月の米労働生産性(改定値)

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