コラム
» 2009年09月15日 09時21分 公開

松田雅央の時事日想:古都ハイデルベルクの街づくり (2/3)

[松田雅央,Business Media 誠]

再開発のポイント

 旧市街地再開発のポイントは3つある。

1.建造物は可能な限り外観を復元し、内部を改修する

  • 暖房、断熱材、キッチン、バスルームなどを時代に合ったものに替え、明るく快適な住宅に変える。

2.住宅周辺の環境改善

  • 荒れていた中庭に緑地を作る、木を植える、子どもの遊び場を作る。
  • 必要に応じて一部の家屋を取り壊し、日当たりや風通しをよくする。
  • 石畳の道路も文化財に指定して保存。

3.交通環境の整備

  • 地下駐車場の整備。
  • 車両の通行に制限を設け、旧市街地への車両の進入を制限。
  • メインストリートは業務用車両以外は通行禁止。
魅力的になったブロック共同の中庭

 1977年に始まった最初の旧市街地再開発プログラムの対象となったブロックは3500平方メートル。総額420万ユーロの40%は国・州・市が負担。補助の条件として家主には改修後の住宅賃貸に制限が設けられ、低所得者が割安な家賃で借りられるように配慮がなされた。

 ツィームセン氏が当時を振り返ってこんな話をしてくれた。

 ブロックの住民でプログラムに強く反対する女性がおり、彼女は住民が参加する作業チームにスパイを潜り込ませたそうだ。「補助の裏には何か別の思惑が隠されているに違いない!」という行政への不信が非常に強かった。しかし、プログラムの進行とともにその疑惑も薄れ、最後には積極的に協力してくれたそうだ。

街づくりの潮流

 昔からあった都市計画に加え、いわゆる「街づくり」という考え方がドイツの自治体に取り入れるようになったのは1970年代とされる。第二次世界大戦が終わり復興は進んだが、都市環境の悪化、交通渋滞、大気汚染など新たな問題が顕在化した。しかし「箱もの」を造る都市計画の手法だけではどうもうまく対応できない。

 例えば市街中心地の交通問題解決のためには公共交通機関の整備といった都市計画的な手法だけでなく、自家用車を持たない生活スタイルの構築、交通弱者をサポートする市民団体の協力、さらに市民の環境意識向上も求められる。自治体の関連部局、企業、団体、市民の協働を促しながら魅力的な街をつくる手法が必要とされ、ドイツの自治体は街づくり部局の設立ブームを迎えた。

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