爆笑レッドシアターで人気の若手コンビ組と中堅どころの実力派との戦いで、なかなか面白かった。採点方法に賛否両論あるものの、結果は順当であった気がする。
最高得点は、東京03の2回目のコント「ともだち旅行」の953点。ブービーは、ジャルジャルの1回目のコント「しりとり」の734点。最低得点は、天竺鼠の1回目のコント「食堂」の723点。その差は、200点ほどある。どうしてか? 何が、それほど違ったのか?
その差異のポイントが「情報化」なのである。
得点の低かったジャルジャルの「しりとり」と天竺鼠の「食堂」は、同じ構造を持つ。ジャルジャルの2人は、寿司店を賭けて延々としりとりをする。天竺鼠の2人は、食堂で「あー、あー、うめぇなー」を連呼する。
それらコントに共通する欠点は(1)単調なのである。(2)寿司店や食堂と言ったシチュエーションの必然性がない。(3)観客にギャグを観せている。ネタを聞かせている。観客側に、脳みそを使わせていないのである。観客側に、脳みそを使っていないというストレスを生じさせている。「情報」は、いっぱい提供しているのだが……そう、「情報化不足」なのである。
一方の最高得点だった東京03の「ともだち旅行」は、旅行で旅館の部屋に訪れた仲良しな男女3人が、ちょっとしたことをきっかけに気まずい状況になるというコント。(1)3人のキャラクター設定が明確である。(2)旅館という設定しかありえない物語がある。(3)4分のコントで演者が舞台をはけて、また、入ってくるところが2回もある。(4)舞台には上がっていない「不細工な女将」がキーマンで、強烈なオチに使われる。
観客側が、これからどうなるのか? 必死に、脳みそを使う状況設定を用意している。観客側と、舞台の向こうに居る「不細工な女将」を共有している。シナリオと舞台の使い方が、若手のコンビ達とは、ちょっと違った。これが、東京03が「劇場系コント」と呼ばれる所以である。
旅館+男女の友達+告白+いさかい……感情移入しやすい手触り感のある「情報」。そして、その4分近くのバカらしいいさかいを、舞台の奥に観客との共有している「不細工な女将」のひと言で、一挙に落とす。このオチを見たとたんに観客の脳みそはスパークする。そう、面白いコントとは、「真の情報化」を実行しているものだ。
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