外部環境の好転、業績の回復にも関わらず目先の需給に振らされて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月05日 16時13分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は底堅い堅調な展開でしたが、日本市場はまた大幅下落となりました。特に売られる材料があったわけではなく、逆に為替も円安傾向、業績の回復を示す決算の発表も相次ぎ、商品市況なども堅調となるなかで大幅下落となりました。持高調整の売りがかさんだものと思いますが、11月という季節柄、買い気の乏しいところにヘッジファンドか何かのまとまった売りが出たということではないかと思います。

 ちょうど昨年と同じ様なパターンとなっています。毎年言われることですが、本当に10月、11月と言う月はさえない相場となることが多いような感じです。「季節性」と言う言葉や「持高調整」と言うことで片付けてしまうのもどうかと思いますが、実際に本日のように、これまで売られていた銀行株が買われ、ディフェンシブ銘柄も含めて業績の回復が示されているものが大きく売られているということを見ると、外部環境に関係のないところ、つまり目先の需給だけで指数が動かされてしまったものと思われます。

 逆に言えば7月の相場も9月の安値もそうですが、特に材料がないなかで目先の需給、一部の投資家=ファンドなどのまとまった売りに押される、それも決算に絡んでの手仕舞い売りで押されるということはそうした売りが一巡すると後は戻るだけということなのではないかと思います。昨年も10月の初めに一度大きく売られ、そのご半ばにかけて戻し、月末にかけて売り直されて、11月に入ってからは再び戻り歩調となりました。昨年と値幅は違いますが、値動き、日柄は同じ様な展開となっています。

 昨年と同様のパターンと考えると11月中はファンドの売りが続き、12月から1月にかけては売りが一服、戻りを試す動きとなり、その後3月の決算を控えた年金やファンドの売りに押されるということになりそうです。昨年は業績が急激に悪化、信用収縮が大きく進む中で下げを大きくしましたが、今年はそれほど売り急ぐ動きはないものと思われます。いずれ、業績回復を織り込む段階もやってくるものと考え、政策に関係のないところで、。下期も業績が回復しそうな銘柄の押し目を見極めれば良いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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