プロジェクトが頓挫し、不条理な異動……悩んでいます田村社長に“働く”について聞いてきた

» 2009年11月27日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 会社で一生懸命働いていたのに、ひょんなことから“左遷”になってしまった……。新しい部署は活気がなく、「自分はもうこの会社でチャンスがないのでは?」と不安に感じている人もいるはず。そんな悩みを抱えている人に、JR東日本ウォータービジネスの田村修社長はどのようなアドバイスを送ったのだろうか。

28歳、男性会社員Tさん

社運を賭けたプロジェクトの一員に選抜されて全力で働いていました。しかし、このプロジェクトを推進していた上層部の交代で、プロジェクトが頓挫して解散。はしごを外された形となり、一部のメンバーとともに、ハッキリ言って暇な部署へ異動となりました。正直、不条理感いっぱいで納得できません。この間の出来事を整理して総括しようとするのですが、怒りとか悲しみが込み上げてきて、どうも整理できません。現部署の仕事には到底満足できず、もんもんとした毎日ですが、なんとか打開して頑張らなければ、と自らを奮い立たせています。前の仕事を引きずる私ですが、今後どうするべきか、参考になる話があれば教えてください。


頑張った人が報われる

 しんどい状況でも頑張ろうとする意思の強い方だと思います。この間の出来事を総括しようとする気持ちは分かるのですが、こんな時はまず気持ちの区切りをつけるのが大切ではないでしょうか。同じ組織に属し人間関係も続き、感情が収まらない現状では、この出来事をきっちり総括するのは難しいと思います。私自身、社会人生活を顧みても総括できている局面はないと思います。

 こんな時は充電期間と考える手があります。休息と考えるのもいいでしょうし、自己啓発に励むのもいいと思います。私の場合、ある程度の時間が取れる部署にいた時は将来の方向に合わせてスクールに通い、資格をコツコツ取得したりしたものです。目的を持って取得した中小企業診断士とかは今でも私の知識の支えになっています。社外の友人などにも自己投資について聞いてみるといいでしょう。

 でも、どうしても今の状況を打破したいなら、誰か会社のキーマンに自らのやりたいことを打ち明けてみる手もあります。ただし、相手は単純に上司ということではなく信頼しうる上役ではないでしょうか。前のプロジェクトを見守っていてくれた方でTさんを少しでも理解してくれる方はいないでしょうか。そんな方に面と向かってご自分がやりたいことを前向きに伝えられれば打開できるかもしれません。私もそんな立場の方に直接伝えて自らのやりたいことをやらせてもらったことがあります。伝える相手の見極めが大切です。

従業員と打ち合わせをする田村修社長(左)

 Tさんは、気持ちの区切りをつけることができても、無意識のうちに、ずっとこの出来事を反すうし続けていくことになるのでしょう。こんなことを言うのはおこがましいのですが、この出来事に関するすべての感情がろ過されたとき、いつか完結するのだと思います。全力で頑張ったのなら、いい意味での教訓となることでしょう。ただし、おそらくそれはずっと先のことです。「不条理なのが会社」とか言われます。そういうものなのかもしれませんが、間違っていると思います。才能や個性は前提としても、頑張った人が報われる、そんな会社であるべきだと思います。心からそういう会社をつくっていきたいものです。

プロフィール:田村修(たむら・おさむ)

1967年生まれ。1991年、早稲田大学法学部を卒業後、JR東日本に入社。入社後一環して非鉄道分野、特に不動産事業分野を歩む。2005年 12月、飲料会社準備室に配属され、2006年8 月、JR東日本ウォータービジネス設立とともに取締役営業本部長に。2009年6月から同社代表取締役社長。JR東日本ウォータービジネスはJR東日本 100%出資の飲料ビジネス会社で、エキナカを中心にブランドミックス自販機「acure」の展開やミネラルウオーター「From AQUA」などの企画製造、グループ向け飲料卸等を手掛ける。


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