『大人の科学』二眼レフカメラでスクエア撮影してみた-コデラ的-Slow-Life-

» 2009年12月03日 08時00分 公開
[小寺信良,Business Media 誠]

 丁寧に作っても1時間程度で組み立てられた学研『大人の科学 vol.25』の二眼レフカメラ。よくよく見てみると、正面に“Gakkenflex”と書いてある。お前、そんな名前があったのか……。

 →『大人の科学』の二眼レフカメラを作ってみた

実はGakkenflexという名前があった

 本の通りに組み立てればすぐに撮影できるのだが、本でも紹介されている改造を施してみることにした。といっても大したことはない。適当な厚紙でできる細工である。

 ファインダーとフィルム感光部に正方形のマスクを作って、ブローニー判と同じ正方形、いわゆるスクエアフォーマットで撮れるようにしてみる。

 正方形で撮れるカメラというのは意外に少ない。35ミリフィルムを使うトイカメラはいくつかあるものの、おもちゃではない「本気」カメラとなると、ドイツで作られていたRobotシリーズやマミヤ・スケッチぐらいだろう。これらは中古市場でも珍品扱いである。フィルムを使わないデジカメなら簡単では……と思うのだが、実際にはリコーやニコンなどが一部の機種でサポートしているだけである。

 そんなわけで、どうせ35ミリで撮れるのならば、ぜひ正方形で撮れるようにしてみたかったのである。またフィルムの圧着を助けるために、圧着板もくっつけてみた。どれも滑りのいい紙がいいというので、『大人の科学』の裏表紙を利用した。何から何までお世話になるのである。

厚紙でマスクを作る

安っぽいけどちゃんと撮れる

 さて、このスクエアフォーマット改造済みのGakkenflexを持って、テスト撮影に出かけた。

 実際に撮影してみると、実にフォーカスが取りづらいカメラである。特に無限遠に近いところでは、フォーカスの山が全然分からない。ただ、意外に近距離まで寄れるようで、最短では50センチくらいまで撮れるようだ。

真ん中にフォーカスがずれる場所があった
無限遠では周辺部の流れが相当ある
最短距離で50センチくらいまで寄れる

 今回はISO200のフィルムを入れてみたが、好天候だったこともあって、露出としてはちょうど良かったようである。もっとも、ISO400を入れても1絞りしか違わないので、カラーネガのラティチュードで十分カバーできる。

 逆光に弱いのはプラスチックレンズの宿命で、ある程度あきらめが付くところだが、どうも中央部がボケている。これはおそらく、フィルム押さえがあまりうまくいっておらず、フィルム面が平坦になっていないからではないかと思われる。圧着板の形をもう少し工夫する必要がありそうだ。

発色などは普通のカメラと遜色ない

 現像からあがってきたフィルムを見ると、どうも逆光で光量の多いカットは、四角いマスクから少し外側に光が漏れてしまっているようだ。もう少し圧着をちゃんとやるか、マスクを黒で塗るなどしたほうがいいかもしれない。

 また、撮影時のフィルム送りが非常に堅い。マスクをセロハンテープで止めたことで、セロハンテープとフィルムがくっついてしまうようだ。多少フィルム送り側のつまみでテンションを助けてやることでうまく回るが、もう少し張り付きの少ないテープでとめるべきかもしれない。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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