NIKEフラッグシップストア原宿が目指す「店舗2.0」(1/3 ページ)

» 2009年12月18日 08時00分 公開
[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」がある。


 つい先週まで日本に出張に行っていたのだが、日本を離れるという最終日に、急ぎ足でオープンしたばかりの「NIKEフラッグシップストア原宿」に行ってきた。Webサイトによると、「ココカラ変ワル」をキーワードにしたこの店舗。実際に行ってみて納得したが、なるほど「ただのショップではない」。合計1000平方メートル近い広々とした店舗は、1階がランニング、2階がNIKEiD、3階がフットボールと、それぞれ確固たるテーマにそって、心躍る売り場作りを実現している。

NIKEフラッグシップストア原宿公式Webサイト

 駆け足で店舗を一巡してみて、真っ先に頭に浮かんできたのは「個」の店舗ということだ。人とテクノロジーを駆使して、「個」の体験、「個」と「個」のインタラクションに徹底した焦点をあてたストア。最近、私は「Web時代に店舗はどう変わるのか」という疑問を持って、商品カテゴリーや業態を問わず、日米のさまざまな店舗を観察して回っているのだが、共通の傾向として目につき始めているのが「個の店舗」ということなのである。

 例えば、ナイキ原宿では、ショッパーが実際にランニングをしながら自分にあった一足を選べる「RUNNER’S STUDIO」、シューズやバッグなどカスタムメイドの商品をデザインできる「NIKEiD STUDIO」、ありとあらゆるフットボール・グッズを取り揃え、刺繍や名前のプリントまでしてくれる「NIKE BOOTROOM」など、お客さまの「個」と向き合う仕掛けを満載している。しかも、各階には顧客のさまざまな相談に乗ってくれる専任コンサルタントがいるという。言葉はやや古臭いかもしれないが、まさに「ハイテク、ハイタッチ」のコンセプトを絵に描いたようなストアなのである。

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