「どうぞ戦ってください」といった鳩山総理の“敵”藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

» 2010年01月18日 08時28分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
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政権慣れしていない民主党

 外交ではもう1つ、中国との関係がある。小沢幹事長は国会議員を140人以上も引き連れて中国を訪問した。そして習近平副主席が訪日した際には、天皇会見を強引に実現した。また鳩山首相は「東アジア共同体」論を展開する。これらを重ね合わせると、そこに見えてくるのは中国への傾斜である。世界第2位の経済大国になる中国との関係をより親密なものにするという姿勢は正しいと思うが米国との関係を悪くして、中国との関係を良くするというのはどうもいただけない。

 この金融危機や温暖化問題で中国の姿勢を観察していると、中国はまだ世界の大国として責任を負いたくないと立場を取っているように見える。米国が、米中というG2で世界をリードする立場に立つことを言ったときでも、中国首脳の発言を聞くとむしろ迷惑そうだった。言ってみれば、政治における野党のようなものだ。米国などの提案にはよく反対するが、かといってその問題をどう片付けるのかということについて中国が建設的な提案をしたケースは寡聞にしてあまり聞かない。対日関係についても、安定した日米関係こそ良好な日中関係の前提という考え方が中国側にはある。

 その一方で、中国は資源を中心に海外の権益を次々に拡張している。その海外権益を守るために、シーレーン防衛が次の課題となっている。中国のシーレーンと日本のシーレーンはほとんど重なる。ということは場合によっては権益がバッティングするということでもある。そういった問題を見据えて、日本がいまどのような立場を取るのか。それを気にしているのは米国だけではあるまい。

 少なくとも外交は「政権慣れしていない」ということではすまないのである。

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