コラム
» 2010年03月02日 08時00分 公開

松田雅央の時事日想:果たしてトラムは安全なのか 日本とドイツの違い (2/2)

[松田雅央,Business Media 誠]
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ちょっとした注意で防げる転倒事故

 乗客のできる最も簡単な自己防衛策は、席に座るか手すりにつかまることである。当たり前のように思えるが、トラムは揺れが少ないため逆に油断しやすい。日本のバスやトラムならば頻繁に「走行中は手すりにおつかまりください」の車内アナウンスが流れるが、ドイツでいちいちそのようなアナウンスはなく、この点は日本の方が親切だと思う。

 さすがに、急ブレーキが原因で乗客がケガをしたらトラム運営会社が治療費を補償してくれるが、日本とドイツでは安全運行や顧客サービスの考え方がだいぶ異なっている。

 例えば、ドイツの運転手は自分に非があっても滅多に謝らない。ケガ人が出ないまでも、不意のブレーキのため乗客が転ぶことは日常的にあるが、「大丈夫ですか?」「すみません」「お気をつけください」などの車内アナウンスはまず聞かない。謝ったからといって運転手の経歴に傷が付くわけではないし、「謝ると裁判になった場合不利になる」というほど深刻な話でもない。運転手に限らず謝ることを嫌うドイツ人は多く、どうも「謝ることは負けである」のような強迫観念が強いようだ。

 もう1つ、日本とドイツでは「降車時に座席を立つタイミング」も違う。ドイツの場合、「次は……停留所」のような車内アナウンスがあると、降車する人は走行中にもかかわらず立ち上り降車口へと向かう。それとは対照的に日本人は「停車するまで席を立たない」ことが多い。日本のバスやトラムでは「危険ですから、停車するまでは席を立たないでください」と車内アナウンスが流れるため、そのように習慣付けられているのだろう。

 「郷に入らば郷に従え」ということでどちらが良い悪いという問題ではないが、国が違っても細かな自己防衛策が身を助けることに違いはない。

カールスルーエのトラム管制室
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