前置きが長くなったが、ここでプリウス プラグインハイブリッドの概要を紹介しよう。
プリウス プラグインハイブリッドは、3代目プリウス(参照記事)のSグレードをベースに、外部電源から充電するプラグイン機構を搭載。バッテリーを従来よりエネルギー密度の高いリチウムイオン電池に変更したものだ。モーターと、エンジンやハイブリッド機構そのものは3代目プリウスから変更されていない。充電系装備とバッテリー、制御ソフトウェアの変更のみでPHV化されたプリウスである。
フル充電状態でのEV航続可能距離は23.4Km(JC08モード準拠で測定)。EVモードでの最高速度は時速100Kmである。
EVモードの航続距離である23.4Kmは、多くのEV専用車が160Km前後を航続距離として掲げているのと比べると短く感じる。しかし、国土交通省の調査資料によれば、乗用車1日あたりの走行距離分布は、航続距離20Kmまでで平日利用の53.7%、休日利用でも51.2%のニーズがカバーできるという。実感覚としていえば、多くのユーザーが“ほぼEV”的な利用ができる計算だ。
また、もう1つ気になるところが、環境性能(エコロジー)と経済性(エコノミー)だろう。プリウスプラグインハイブリッドは、プリウス同クラスのガソリン車に比べて約62%のCO2が削減可能であり(電力製造時排出分を含む)、30Km走行時のランニングコストでは、通常電力での充電でマイナス58%、深夜電力を併用すればマイナス77%のコスト削減になる。
こうして見ると、劇的な環境性能・経済性能を持っているように感じるが、3代目プリウスと比較すると、その向上幅はささやかだ。現行プリウスは、同クラスガソリン車と比較してのCO2削減率が約55%、30Km走行時のランニングコスト削減率が約53%。プリウスプラグインハイブリッドとの削減率の差は、CO2排出量で7%、コストで最大24%(深夜電力契約・深夜電力利用)である。プリウスと比べると「プラグイン化しても思ったほど数値が伸びないな」と感じるが、これは3代目プリウスの環境・経済性での基本性能がそれだけ高いことの証しとも言えるだろう。
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