日本人と違って、ドイツ人はなぜ環境意識が高いのか松田雅央の時事日想(2/4 ページ)

» 2010年03月16日 10時41分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 NABUの特徴は地方組織の独立意識が強く、地域の特色を生かした活動を展開していることだ。例えば、地元農村の自然や歴史を体験観察するエコツアーを企画し、ツアーの最後に地元レストランでご当地食材を使った昼食を食べる。参加者の多くは近隣の都市住民で農村地帯の生態系に興味を持つ人々である。

 NABUは地元の交通局とタイアップし、参加者にはなるべく公共交通を使って集合場所まで来てもらう。そして地元の食材を利用して地産地消運動の一助とする。このように、市民の関心を「エコロジーと地域の活性化」へと向かわせる仕掛けがうまい。

農村エコツアーの昼食風景

地方から中央へのピラミッド

 NABUの組織は下部から「地方組織」「地域事務所」「州事務所」「連邦事務所」というピラミッド構造をとり、下部組織ほど地域に根ざした活動が主、上部になるほどロビー活動や全国規模の活動企画の比重が高まる。「地方組織」と「地域事務所」の活動は、主にボランティアベースで行われ、「州事務所」や「連邦事務所」の運営は主に専従職員が行う。地方組織が集める大人40ユーロの年会費は8割以上が上部組織に収められ、地方組織に残るのは2割弱。やはり、活動は無償のボランティアが頼りだ。

 Nカールスルーエ市の人口は約28万人で、NABUカールスルーエの会員は約2000人。地方社会に十分大きな影響力を持つ数である。

NABUのシュトゥットガルト州事務所で働くDr.バウマン。州の会員数は約7万人

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