静岡のお茶の間で大人気、名物キャラクター「パンパカパンツ」(2/3 ページ)

» 2010年03月29日 12時18分 公開
[中村修治,INSIGHT NOW!]
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全国ネットの視聴率2%より、地方の視聴率10%

 宮崎アニメのように数億円もの制作費がかかっているわけではない。せいぜい制作費数百万円以下のフラッシュアニメである。噂によると録音は、スタジオなど使わずに、声優さんたちが布団をかぶってやったという……。それで、この反響と、このキャラクタービジネスである。お見事である。

 パンパカパンツを仕掛けたのは株式会社DLE先日、同社の椎木社長のお話を聞く機会に恵まれた。面白かった

 DLEは、夢をつなぐエンタテインメント企業=Dream Link Entertainmentで……。圧倒的なスピードを持つ制作能力で、これまでのエンタテインメント業界の常識をくつがえし、世界に類のないビジネスを創り出す会社である。

 その柔軟さとスピードを決定づけているのは、漫画家やアニメーターを正社員として雇用し、何の縛りもなく、一気通貫でキャラクタービジネスをプロデュースする力。キャラクタービジネスのサプライチェーンを大きく転換している会社=「コンテンツ業界のユニクロ」みたいな企業なわけである。

 そこで、マーケティング的に印象に残ったのが、以下の言葉だ。

 「全国ネットで視聴率2%とるより、地方で視聴率10%とりつづける方が、絶対大きなチャンスが訪れる! 静岡県で10%を続けて、地元の小学生のほとんどが知っている状況を作り出せれば、それは、絶対に全国へと拡がる。マスだ、全国認知だ……というマス的発想より、「街的」なエリアマーケティング発想こそ、この時代のマーケティングだということ。局地戦での圧倒的勝利こそ、全国ブランドの足がかりである」ということである。

 そして、何よりもコンテンツづくりを面白がる。クリエーター1人の力を信じて、どこよりも面白くプロデュースしてやろうという気概がすばらしい。「革命は辺境からやってくる」という言葉を、私は、信じている。これからのメディアやマーケティングの革命は、すでに、こうやって起こっている。

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