リッチ層が住んでいるのは「江ノ島電鉄線」、逆に資産を減らしたのは?(1/2 ページ)

» 2010年03月30日 13時38分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 リッチ層が最も多く住んでいるのは、どこの沿線なのだろうか。三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)の主要私鉄で見てみると、「江ノ島電鉄線」(年間所得800万円)がトップであることが、野村総合研究所の調査で明らかになった。次いで「阪急甲陽線」(789万円)、「京王井の頭線」(772万円)、「東急東横線」(759万円)、「東急こどもの国線」(759万円)と続いた。

 「江ノ島電鉄線」「阪急甲陽線」「京王井の頭線」ともに、高級住宅街を中心にごく短い営業区間の路線であることが共通している。また東急沿線が上位に並んだ背景には、「所得水準の高い現役世代が多いこと。沿線ブランドが周辺物件の不動産相場を押し上げ、高所得者が多く集まっているのではないか」(伊藤慶史副主任コンサルタント)と見ている。

 世帯当たりの金融資産(不動産は含まない)ランキングを見てみると、「京王井の頭線」(4576万円)がトップ。次いで「東急大井町線」(3979万円)、「東急東横線」(3943万円)、「東急池上線」(3937万円)、「つくばエクスプレス」(3821万円)と続いた。全体的に東京23区に住んでいる人は金融資産を持っており、下町エリアでも水準は高い。「下町は高齢者が多く、昔から家を所有している人が多い。そのため、金融資産を保有している人が多いのではないだろうか」(伊藤氏)

 一方、金融資産が減少(2007年→2008年)したのはどの沿線に住む人が多いのだろうか。最も減少したのは「近鉄長野線」(222万円減)、以下「神戸電鉄粟生線」(218万円減)、「近鉄田原本線」「名鉄尾西線」(いずれも217万円減)、「秩父鉄道」(209万円減)と、近畿圏での減少が目立った。また同じ都市圏でも郊外ほど減少幅が大きい傾向にあることが分かった。その理由として「減少幅が大きかった路線では高齢者の住居が多く、時間が経過することで貯蓄性保険(=受取額の期待値で評価)の金額が減少している。さらにリーマンショックを受け、投資商品を手控える人が目立った」(伊藤氏)という。

(出典:野村総合研究所)
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