日本は沈むのか それとも浮上するのか――残された時間は少ない藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

» 2010年04月12日 07時52分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
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 ここで言う「メルトダウン」とは、国債金利が上昇して日本経済が奈落の底に突き落とされることである(こう書くと、いかにも外国投資家からいじめられているという感じがするが、そうではない。市場が日本の国債はリスクに見合っていないと判断するのだ)。もしその時までにデフレから脱却していなければ、それこそ大変なことになる。それでなくてもデフレを勘案すれば「実質金利」は高止まりしていると言えるのに、名目金利が大きく上昇すれば、それこそ企業経営に与える影響は小さくない。

存在感が薄れている日本

 いま日本に必要なのは、「ビッグバン」だというのがエコノミスト誌の主張である。国営に限りなく近くなるような郵政民営化見直しは、完全に逆コースだということになりそうだ。

 日本がこの限りなく悪い流れの中から抜け出して、新たな成長軌道に乗れるのかどうか。そのための処方せんを誰が描くのか。少なくとも現在の鳩山政権ではあるまい。なぜなら政策決定に大きな力を発揮しているように見える労働組合は、自分たちの利益を守ることには熱心だが、日本企業の国際競争力を高めることには熱心ではないからである。

 国際社会で急激に存在感が薄れている日本。このままずるずると沈んでいくのか、それともどこかで浮上するのか。われわれに残された時間はそう多くはなさそうだ。

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