特に売り材料があったわけでもないが、過熱感が強かったことに加え持高調整の売りも嵩んで一時大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月13日 16時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は堅調となったのですが、若干為替が円高方向に振れたことなどから売り先行となりました。過熱感が強いところで中国元切り上げの話題などもあり、持高調整の売り買いが入り、大きな下げとなったものと思います。円キャリー取引の解消なども見られ下げ幅を広げ、特に買い要因のない中で堅調なものが散見される要因となったものと思います。物色一巡感から利益確定売りが出やすいところで、上値の重さが確認されて一斉に手仕舞い売りが出たということだと思います。

 「まだはもうなり、もうはまだなり」といわれますが、昨日このコラムで述べたように「まだ大丈夫だろう」と思って買いつく向きが多く、出遅れ銘柄を探す動きになったところから、下落となりました。まだ明日もこの売り基調が続くのかどうかはわかりませんが、これまでの上昇の反動とすると、外部の材料は何であれ、戻れば売り、下がれば売りと言うような展開が続くことになりそうです。今回の上昇相場でも新たな買い手が現れたのかどうかが試されることになりそうです。

 いつもこのコラムで述べていることの一つに、相場を見るときは「誰が何をしている相場なのか」を見極める必要があるという話しをして来ました。3月からここまでの上昇の要因はもちろん業績回復、景気回復を織り込む相場であったことには違いないのですが、市場参加者が増えず、あいかわらず、円キャリー取引などを駆使したファンド筋や目先筋が中心となっていたことで、盛り上がりに欠ける相場が多くなっていました。

 しっかりと腰の据わった買い、いったん買ったら何年も売らないような買い方が非常に少なかったことで、「降れば土砂降り」と言うことになり、本日のように特に売り急がなければならない理由があったわけではないところで、売り急がされることになるのです。同じ業種の中で特に材料があったわけでもないなかで高安まちまちとなったり、同じような好材料にも反応する銘柄とそうでない銘柄が見られるなど、持高調整の売り買いが中心となっていたものと思われます。ですから、この動きは明日は全く反対となる可能性もあり、まだ続く可能性もあるということなのでしょうが、明日の寄付きからしばらくの相場を見て「誰が何をしているのか」を考えるとまた明日の相場の方向も見えてきそうです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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