なぜ30代前半になると、“ゆきづまって”くるのだろうか吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2010年04月30日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 30代前半の社員と話すと「優秀だな」と思う人がいる一方で、「これはひどい」と感じる人がいる。どの世代にもそのような差はある。だが、30代前半のその差は非常に大きい。数カ月前にも、この世代のダメな編集者とこんなやりとりをした。

吉田 あの本を本屋で売るときには、目立つようにPOP広告をつけましょうか?

編集者 あれは意味がないですね。実は、たいして効果がないんです。

吉田 この本独自のブログを立ち上げましょうか?

編集者 そんなことは止めましょう。ムダですよ。新聞に本の広告を載せますから、それで十分。

 本を売るために15くらいのアイデアを出したところ、彼はすべてに「NO」と答えた。その理由は、あいまいなものが多い。やりとりを通して「仕事の要領を心得ていないな」と感じた。実際、彼の先輩(40代前半)に聞くと、「まだ1人立ちとは言えないレベル」なのだという。ところが本人は40代後半くらいの編集長気取りになっていて、何でも知ったかぶりなのだ。

 私が30代前半のころにもこういう人はいた。その後10年が経ち、彼らは40代前半になった。いま、その大半がまだ管理職になれていない。率直なところ、40代前半で同世代の社員と比べて昇進に遅れが出たときは、それを取り戻すことはできない。つまり、落ちこぼれである。そう考えると、いまの30代前半で何に対しても「NO」と言っているような人もきっと前途は暗いのだろう。

 私が観察していると、社会人になり10年目くらいになる30代前半は曲がり角であるように思える。最低限のレベルだが、仕事をなんとか覚えて「俺は一人前」と思い込むころである。ここで2つのパターンに分かれる。

 1つは、それまでの経験ですべての仕事を理解したかのように思い込み、成長が止まる人。もう1つは、さらなる成長のために新たにどん欲に経験を積んでいく人。私が観察すると、大体6〜8割は前者であるように思える。

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