米国株安、円高に加え週末の手仕舞い売りもあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月14日 15時54分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅安となったことや為替が円高に振れたことが嫌気されて売り先行となりました。オプションSQ(特別清算指数)算出に絡む売り買いも売り越しとなったもようで、下げ幅を広げる要因となっていたようです。前場中頃からは落ち着いた動きになり、後場も戻り歩調となりましたが、戻り切らず大幅安となりました。決算発表への反応も悲観的な反応、悪い話には大きく、良い話は小さい反応となって大きく値を崩すものも見られました。

 米国市場も特に材料がない中で大幅安となったように、目先の信用収縮=リスク許容度の低下が売り急がせる要因となっているものと思います。また、ヘッジファンドなどへの規制強化の動きも見られることから、手仕舞い売りを急がせることになっているものと思います。もちろん、手仕舞いの買戻しも見られるのですが、買戻しの動きよりも見切り売りに追随する動きが大きく、下げが大きくなる場面もあったものと思います。

 ギリシャ問題はサブプライム問題と違い、「先が見えている」つまり、ギリシャが破綻するとどうなるのか、損失がどうなるのかを計算できることから、破綻させないするためにはいくら出せばいいかもわかると言うことで「先が見える」のです。そしてギリシャの破綻の連鎖もどうなるのかが見えており、破綻させない手を打つ方が良いとなれば破綻することはないのです。ギリシャのリスクが高まるとギリシャ国債を持っている人がその分リスクが多くなり、どこかでリスクを減らさなくてはならなくなり、リスク資産からの資金逃避が行なわれてしまうということです。

 ですから、ユーロのリスクが高いとなるとユーロからより安全=リスクの少ないところにお金を移さなければならず、ユーロ売りにつながるということなのです。また、米国での金融規制強化や出口戦略もあってますますリスクを取れるような資金が萎縮してしまい、いろいろなリスク資産から資金の逃避が行なわれているということなのです。今回の各国のドル資金供給などはこの連鎖を止めるということでリスク資産からの逃避が一段落するのではないかと好感されたわけです。ヘッジファンドに絡む「45日ルール」を過ぎて、リスク資産からの逃避の動きが一段落すれば、業績面からの見直し買いも入るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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