欧米株安や円高を受けて売り先行、一段のユーロ安を受けて売り急ぐ場面も清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月17日 16時24分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 先週末の海外市場よりも更に為替が円高にふれ、信用収縮懸念が強まったことが嫌気されて売られ、海外市場以上の下落となりました。足元の業績は米国などと同様に決して悪くはないのですが、欧州発の信用収縮の動きが更に強まり、世界的なリスク資産からの逃避の動きがまだまだ続くとの見方が業績回復期待を打ち消すように売り急がせる要因となったものと思います。世界的な政治不安もあり、積極的な政策が執り難いことも信用収縮を止める動きにならなかったようです。

 持高調整の売り、特にヘッジファンドなどの手仕舞いの動きが先週で終わるとの期待が見事に裏切られてしまいました。ギリシャ問題が欧州の大きな金融不安につながったものの、サブプライム問題などと違いある程度先が見えていると思うのですが、政治的な動きが鈍いことで市場が催促しているのではないかと思います。米国企業や欧州でも一部の企業に見られるように新興国の需要増から収益に結びつけている企業も多く、新興国バブルがはじけてしまったわけでもないことから、本来であればそれほど問題視される必要もないのでしょうが、サブプライム時の記憶が新しいことが過敏に反応しているものと思います。

 ギリシャ問題、欧州の問題だけであれば影響も限定的なのでしょうが加えて中国の金融引き締めなども懸念されているようです。ただ、中国の株価などを見ていると過度な引き締めは実体経済をも冷ましてしまうことになり、そうした過度な引き締めまでは考えられず、持高調整の売り、信用収縮で売られなければならないような投機的な資金が出てしまったところからは業績面や値頃感からの買いが入りいったん底堅さが見られれば、買戻しを急ぐうごきなどから反発となって来るのではないかと思います。

 ユーロ売りの傾向はしばらく続く可能性はありそうですが、ユーロ安の影響を受け難い銘柄や米国の出口戦略が遠のくことでメリットがありそうな銘柄などから底堅さも見られるのではないかと思います。まだ、目先の需給要因に振らされている面は強く、ギリシャ問題もまだまだ続くのでしょうが、信用収縮からのリスク資産を手仕舞う動きはそろそろ一服となって来るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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