インターネットのもう1つの特徴は“コミュニケーションの革新”。EC studioではiPhoneとTwitterを徹底的に武器にしている。
山本社長の著書『iPhoneとツイッターで会社は儲かる』には、全社員(33人)にiPhoneを配布し、Twitterでつぶやき出した結果、社員のコミュニケーションの質が上がり、心理的距離が縮まり、組織のベクトルもそろい、しかも仕事が生まれたという実例が盛りだくさん。
「今日も、外部の知人SEが『そろそろ受注が減ってきた、手が空いてきた』とつぶやいたので、『じゃあこのWebサイトの仕事をしない?』とリツィートしてやってもらうことになりました」
同社社員のつぶやきはすべてオープン。伏せるべきことのマナーを徹底するだけで、そのほかは「あ〜疲れた」「風邪薬飲んで眠い……」とホンネ全開。同書執筆中の社員のつぶやき率は3分の2だったが、5月22日の山本さんのタイムラインを見ると「いつの間にかEC studioスタッフは全員Twitterのアクティブユーザーになっていた」という。
「会わない」「低料金」「効率重視」、でも「人間味」。なぜそんな経営スタイルに? 山本さんの事業タイムラインをさかのぼってみよう。
大学生のころ、ドットコムバブル全盛のロサンゼルスに遊学。目を付けたのはWebサイトの検索エンジン登録代行サービス。専用ソフトがあれば3分でできるのに、5万円で提供する業者ばかり。そこで効率を高めて3000円で提供すると大ヒット。経営効率の重要性と低料金の強みを肌で覚えた。
PCにも触れたこともない体育会系の高校生だった。家でゲームに熱中する弟を「軟弱者!」とののしった。
「『オタクしてんじゃない!』と弟をボコボコにしまして」と山本さんは笑う。
だが、弟のPCをのぞいてみて、そこに映っていた対戦ゲームに驚嘆した。「ネットってこんなことができるのか」と思い、弟からPC9821のおさがりをもらい、「ITで起業して人を幸せにしよう」という方針を定めた。弟は今、EC studioの技術スタッフだ。
小学校2年生のころ、食卓に“社長”と書かれたコップがあった。それを大事そうに眺めては使う父。山本さんが幼少のころから、父は独立して音楽スタジオの経営をしていた。子ども心に「社長はすごい」と思った。その後テレビで、会社にグチを言うサラリーマンの姿を見て決心が固まった。
「スタジオを継いでほしい」と願った父を袖にはしたが、会社名はEC(e-commerce)とstudio(音楽スタジオ)を重ねた。
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