特に材料の無い中で乱高下となりました。朝方は米国株が大幅下落となったことなどから売り先行で始まり、首相退陣などを好感するかのように堅調となる場面もあったのですが、後場は特に材料の無い中で売り直されて大幅下落となりました。信用収縮となる中で持高調整の売りが出ているようですが、世界的な信用収縮の動きのなかで景気への影響も懸念され始めているということなのだと思います。
政局の混乱が株式市場に影響を与えるとの見方もあるようですが、政治が「何も出来ない」ということから脱却するとなると政局の混乱ではなく「変化」を期待してもいいのではないかと思います。昨年7月も選挙を前に政権が交代するのではないかとの期待と同時に既存政府の無策を嫌気するように売られる場面もありました。ただ本日の動きを見ると、為替は円安=日本売り、株が大幅下落=日本売り、ですが、債券は堅調となっており、政局の混乱ではなく、リスク回避の動きと考えられます。
これまでは日本は「比較的安全」ということでリスク許容度が縮小すると円高になり債券高になることが多かったのですが、今日は動きが違い、円安に振れて債券高とちぐはぐな動きとなっています。つまり、日本の中でリスク資産からの逃避となっており、大きな下げとはなっているのですが、こうした売りがいつまでも続くということはないと思います。外個人が売り越しとなっていることを見ると株売り、円売りの動きも出ていることと思われ、国内勢の動きと海外からの動きに違いが出ているのかもしれません。
欧州金融不安などが依然として懸念されているのですが、結局はいわゆる「デカップリング(非連動)」なのか「リカップリング(連動)」なのかということに尽きると思います。新興国経済の拡大が欧州金融不安を払拭する動きになるのか、欧州金融不安が新興国経済を悪化させるのか、ということなのだと思います。ただ、「リーマンショック」と言われたときでも中国やインドなどはほとんど落ち込まず、一過性の調整という感じでした。今回も過敏に反応しすぎている面もあると思われ、底堅さが見られれば業績面からの割安感を見直すことになるのでしょう。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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