展示室の全景。写真左と奥の作品が、今回の展覧会で初めてお披露目となった新作である。左の作品「Untitled」は、三角形でできたステンレススチールを幾何学状に並べて円形にした作品。遠くから見ても迫力のある彫刻だが、ぜひいろいろな場所に立って作品を眺めていただきたい。
目の前に立って動いてみるとよく分かるが、球面に敷き詰められた三角形の鏡は、1枚1枚が違う風景を写し出す。作品の前を横切ったり、近づいたり離れたり、いろんな動き方をしてみてほしい。作品はその度に表情を変えるし、新しい視覚体験が味わえる。酔いやすい人は注意が必要かもしれない。
奥の作品「Untitled」も新作だ。これは石川県の「戸室石」で作られており、重さは3トン。そして、この美しい朱塗りは、同じく石川県の職人によるものだ。つるんとした漆塗りの肌は、触れたくなる艶やかさと、触ったらそのまま吸い込まれて、どこか違った世界へ行ってしまうような、なんだか危険な匂いも感じる。
手前のアクリル作品「Untitled」は2007年に制作されたもの。一点の濁りもないアクリルの円柱の中にまるで内臓のような気泡が閉じこめられている。これも見る角度によって中にあるものの形が変わるし、このアクリルを通してその奥にある漆やステンレスの作品を見るとまた違った作品に見えてくる。
もちろん、作品を見て宇宙を感じてもいいし、日々の自省の念に浸ってもいい。だが、ひとまずはあんまりいろいろと考えずに作品を体験してみてほしい。ただ作品の前に行くだけで、胃のあたりがぞわぞわっとするちょっと不思議な視覚体験ができるだろう。6月19日まで。
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