活字だけじゃない! iPadでマンガを読んでみた(2/3 ページ)

» 2010年06月22日 08時00分 公開
[TeT@4Gamer,Business Media 誠]

いろんな漫画が読みたい!

 ……という話をすると、先日配信がスタートした「少年サンデー for iPhone」のことかと思う人もいるだろう。あれはあれで、iPhoneやらiPadやらが好きなサンデー読者としては、「よく決断してくれたよ、小学館!」と賞賛したいのだが、『うる星やつら』(高橋留美子作)にも、『うしおととら』(藤田和日郎作)にも、『名探偵コナン』(青山剛昌作)にも、そして『MAJOR』(満田拓也作)にも興味のない人にしてみたら、「うーん、微妙」ってところだろう。

 そこで今回紹介したいのが「eBookJapan」というサービスだ。

eBookjapan公式Webサイト

 eBookJapanは、2000年に設立されたイーブック イニシアティブ ジャパンが提供しているサービス。別にiPadのためだけにスタートしたサービスということではなく、PCやMac、Windows Mobile、iPhone/iPadといった各種プラットフォームに対応。専用リーダーをインストールし、あるコンテンツをWebを通じて購入すれば、さまざまなプラットフォームで楽しめるのだ。

 6月21日時点で漫画を中心に3万7739点のコンテンツが配信されており、それらはすべて上記プラットフォームで閲覧可能だ(ただし、Windows MobileやiPhoneなどでは読めない作品もあるようだ)。

 iPad(およびiPhone)で利用する場合、まずはeBookJapanで会員登録を行い、App Storeから「ebiReader」をダウンロード&インストールする(どちらが先でも問題はない)。

 その後、eBookJapanで読みたい漫画などを購入し、そのコンテンツをeBookJapanのサーバー上に用意された個人用の「トランクルーム」に入れる(トランクルームは50冊まで無料。利用するデバイスを事前に登録する必要がある)。その後、iPadでebiReaderを起動して、トランクルームから読みたいコンテンツを選べば、購入したコンテンツをiPad上で読むことができるというわけだ。

場所をとらないメリット

 ちなみに筆者は、「いつかは集めたい。しかし全43巻ともなると、置き場が……」と思っていた、『からくりサーカス』(藤田和日郎)全巻をeBookJapanで購入し、主に通勤電車の中でiPadを使って読破した。

 iPadを縦持ちして、ディスプレイに1ページが丸々表示される状態で読む漫画は、単行本や文庫本よりも大きなサイズで楽しめて、なかなか快適だった。

 縦表示だと見開きページでは若干の難があるのは否めないし、横持ちして見開きが1画面に表示されるようにすると、若干表示サイズに小ささを感じるのも確かだが、読めないというわけではない。

縦表示(左)、横表示(右)

 『からくりサーカス』eBookJapan版は1巻あたり420円と、紙の単行本(410円)と比較して「高い」と感じる人もいることと思う。確かに印刷や流通にかかるコストを考えると、電子書籍は紙の単行本より低い価格設定がされても不思議はない。

 だが筆者の場合、「場所をとらなくていい」というメリットの方が重要だったし、『からくりサーカス』という作品に対して、紙の単行本と同じだけの対価は支払いたいという気持ちがあったので、さほど気にはならなかった。そして何より、全43巻をまとめて持ち歩いても重量はiPad1台分という事実が嬉しい。

 また、「続きを読みたい」と思った時に、すぐ買えるという便利さも良かった。完結した長編作品を、駅内の書店で毎日数冊ずつ購入していたら、ある日突然、次の巻だけ品切れした……みたいな経験をしたことのある人なら、ご理解いただけるのではないだろうか。

 電子書籍の場合、印刷や流通などのコストが、紙の出版物よりも低くなるということがメリットとして語られているが、電子書籍市場が拡大しない限りは紙での出版を捨てるわけにはいかないので、現状のeBookJapanの価格設定は、まあ妥当なところなんじゃないかなと感じている(少年サンデー for iPhoneも同様)。価格の妥当性については、まだまだこの先、議論の余地はあるとは思うが、「電子書籍だから安くて当然」と考えるより、電子書籍によってカットされるコスト分がコンテンツの作者への対価として回ればいいなと考えている。

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