活字だけじゃない! iPadでマンガを読んでみた(3/3 ページ)

» 2010年06月22日 08時00分 公開
[TeT@4Gamer,Business Media 誠]
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アプリ内課金には対応していないが

 eBookJapanのサービスは、少年サンデー for iPhoneと比べると、アプリ内課金に対応していないというのが、大きな違いと言えるだろう。

 eBookJapanを利用する場合、ebiReaderから直接コンテンツを購入することはできない。その都度、Webにアクセスし、読みたいものを検索し、決済手続きを行う必要がある(決済方法はクレジットカードやWebMoney、イーバンク決済などさまざま)。

 アプリ内からすんなりコンテンツを購入できたほうが、はるかに利便性は高く、各種Webサービスに不慣れな人にとっては優しい仕組みではあると思う(アカウントも1つで済む)。とはいえ、App StoreではAppleの胸先三寸でコンテンツ提供の可否がころころ変わるという怖さがある。以前、筆者がiPhone用に購入した西田麻衣ちゃんの写真集などは今、App Storeで購入できないのだ!

 なんて個人的な恨みはさておき、先日も講談社がApp Storeで配信していたグラビアアイドルの写真集が削除されたというニュースがあったが、eBookJapanで配信されている漫画を見ると、その手の“規制”は相当緩い印象を受けた(西田麻衣ちゃんの写真集もあるし!)。

 つまり、ebiReaderは、あくまでもebi.J形式ファイルのリーダーアプリという形で、App Storeの承認を受けており、アプリ上で閲覧できるコンテンツに関して、Appleは関知していないということなのだろう(当たり前といえば当たり前のことだ)。

 こうしたことを見ていくと、iPhoneやiPad向けにコンテンツを配信しようにも、「Appleの審査が厳しそうだ」と考えて逡巡しているコンテンツ配信事業者がいるのなら、「iTunes Storeを通して提供するだけがすべてじゃないんだぜ?」と、さわやかな笑顔を浮かべながら肩を叩いてあげたくなる(「eBookJapanで配信すればいいじゃない」とまでは言わないが)。

大判の雑誌は読みにくい

 余談じみてしまうが、筆者自身、iPadで雑誌も楽しみたいとは思っている。実際、「MAGASTORE」のアプリを使い、雑誌も購入してみた。

MAGASTORE公式Web

 「雑誌と同じ内容を、同じレイアウトで読める!」というのは、確かにインパクトがあるものだ。配信する側にとっても、DTPでデータを印刷所に出すのと同時に、データを生成できるうえ、販路が書店だけではなくて、MAGASTOREにも広がるのは、うれしいところだろう。

 ただ、「紙のレイアウトと同じものを、iPadで閲覧して読みやすいかというと、それはそれで別問題だな……」というのが、個人的な感想だ。というのも、A4ないしはA4変形判の雑誌は、そのままのレイアウトのものをiPadで閲覧しようとすると、どうしても文字が小さくなってしまうのである。読みにくい個所に差しかかったら、その都度、ピンチアウトして拡大、なんていうのは、最初のうちは面白いかもしれないが、次第に面倒くさくなっていくものである(逆にA5判の雑誌だったら、そのままでも読みやすいだろうと思う)。

 eBookJapanで配信されている漫画や、MAGASTOREで配信されている雑誌以外にも、例えば講談社がいち早く配信した『死ねばいいのに』(京極夏彦著)であるとか、毎日新聞の『PhotoJ.』など、いろいろと購入し、読んでみた。

 『死ねばいいのに』や『PhotoJ.』の志は大いに買いたいし、それを支援するつもりで対価を支払って読んではみたのだが、正直なところ「新しいプラットフォームに向けて、新しいことをやってみました」という意志の発露にしか過ぎないという印象を受けた。もちろん、新しいプラットフォームが登場した時に、静観して「あんなものダメです」とか言うより、実際にそれに向けてコンテンツを提供しようと考える人たちの方が支持できるのだが。

 現状、「電子書籍というものに対し、どういうコンテンツを提供していくべきか?」という部分に関しては、各社が試行錯誤を繰り返している状況だと思う。そんな中、「漫画の配信という点において、eBookJapanは奇をてらったことをしていない分、ある程度のアドバンテージはあるのかな」というのが、個人的な感想だ。単に、活字でページが埋まっているコンテンツより、絵がふんだんにあって、活字もある程度あるくらいの方が、読みやすいというのもある。

 本音を言うと、例えば『週刊プロレス』みたいな、そもそもニッチなターゲットにしか向けていない専門誌が(読みやすい形で)電子書籍化されたならば、ぜひとも購入したい。

 ただまあ、そんなものが形になるまでには、まだまだ時間がかかりそうな気がするので、とりあえず今のところは、漫画だけでもどんどん電子書籍化されるといいなと思っている。すでにeBookJapanでは大量の漫画が電子書籍化されているので、『プロレススーパースター列伝』あたりは、愛蔵本は持っているものの、電子書籍版もあらためて購入して(eBookJapanで売ってるんですよ)、こうした流れを少しでも後押ししたいなと思っている。

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