米国株が軟調となったことや円高となったことから売り先行となりました。ただ、業績や海外市場動向に関係ないところで、持高調整のような格好で売りが嵩み、株式売り、債券買い、円買いドル売り、と言う展開となりました。円高になったから株が売られたというよりは株が売られて債券が買われたから円高に振れ、円高となったから株が売られたということのなのだと思います。業績上方修正や好調な決算をほとんど無視するような格好で、目先の需給に振らされる格好となりました。
米国の経済指標への懸念も根強いのですが、悲観的な見方ではなく楽観的に見ると決して悪いというものでもなく、昨日の米国株の下落も経済指標の悪化というよりは、経済指標を悪化と見るようにセンチメントの悪い中で前日に大幅高となったことで、手仕舞い売りに押されたということではないかと思います。海外で商品市況などは堅調でありデフレ懸念が強まったわけでもないのですが、債券買い・株式売りの動きが日米共に出ているようで、目先の需給の悪化がセンチメントを悪くしているものと思います。
本日の日本市場もここまで売られる理由も特にないような気がします。為替が1ドル=85円と言う水準まで円高に振れたことで好調な決算を発表した企業の先行きに対しても懸念が強まったものと思います。為替の「適正水準」は量りにくいところですが、日米の景気動向、金利差などを考えても、ある程度のところまで来ているのではないかと思います。また、新興国などでの好調な業績が多少の円高でのマイナスを補うものと思われ、過剰な反応となっているような気がします。
10年国債の金利が1%を割り込んで来ました。2003年以来の水準ですが、当時に比べるとデフレ懸念も金融不安も強いものではなく、金利水準もちょっと「行き過ぎ」という水準ではないかと思います。ここまで金利が低下してくるとさすがに住宅ローンも組みやすく、住宅販売への期待も出てきそうですし、配当利回りなどを考えても株式の方が割安という気もしてきます。割安感が強い銘柄が業績上方修正をしても買われることなく、逆に売られて、1%を割り込んだ利回りの国債が買われるという状況はいかにも「異常」としかいいようがない気もします。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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