コラム
» 2010年08月26日 08時00分 公開

カバンの中にWOWを入れよう!自主制作プロジェクトから世界へ郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

[郷好文,Business Media 誠]

動物たち、いやデザイナーたちが集まってきた

 制作者はビジュアル・デザイン・スタジオのWOWに所属する3人のビジュアル・デザイナー。石井葉子さん(ビジュアル・デザイナー)、大内裕史さん(ビジュアル・アート・ディレクター)、小島和則さん(ビジュアル・アート・ディレクター)と、1人のプロデューサー東市篤憲さんである。

 「どんなきっかけでこの作品制作が始まったのですか?」と尋ねると、「石井から始まったんです」と東市さん。

 「温かい雰囲気の映像を創りたくて、1枚のストーリーボードを描きました」、石井さんははにかんで言う。

左から東市さん、小島さん、石井さん、大内さん

 振り出しは石井さん。社内の情報掲示板に1枚のコンテ絵を掲載した。すると「良いね!」と感じた大内さんと小島さんがやってきた。ほどなくプロデューサーとして東市さんがやってきた。「みんなで夢がふくらむ物語を創ろうよ」と。まるで石井さんというブタがラベルから抜け出して、キリンやゾウ、アヒルと一緒になったかような始まり。こうして、『La Promande』の撮影が始まった。制作は3人、東市さんはプロデューサー兼運転手だったという。

 社内公認のプロジェクトだったが、クライアントがいない自主企画なので予算は限られ、制作は仕事の合い間や時間外に行った。考えて、少しずつ撮って、創って、完成までには2年弱かかった。

4分弱の舞台裏

 3人は額を寄せ合い、静止画や動画コンテを寄せ合い、メールで寄り合って、場面のシーンやシナリオを練り上げた。まとまったところで背景画像となる部屋の撮影に移る。

 まずはロケハンだ。スタジオを探し訪ねて、これだと場所を決めた。大道具となる家具はスタジオにあるものだけでは足りない。古道具屋を訪ねて「これ!」と思ったものを借りようと店主に掛け合う。さらに小道具は私物の持ち寄り。ブタが右に左にトコトコっと上るジュエリースタンドは、石井さんの私物。動くものはCG、動かないものは本物だそうだ。

 場所と道具が揃えば撮影だ。映画撮影のようにモーションコントロールカメラなどを使って、カメラを平行移動させてワンショットで撮りたいが、機材が高価すぎる。そこで角材を買ってきて、あたかもレールのように床に敷き、その上に撮影カメラを載せる台を自作。5ミリ単位で“手動移動”し、コマ撮りしてつなぐ。スチール撮影はプロに依頼。4人のクリエイターとカメラマンがスタジオ入りすると、思わぬ事態も発生した。

 「古道具屋から電話があって、あの家具売れたから今日中に返してくれって言うんですよ」と東市さん。そこで借りた道具の撮影を終えると、東市さんが自慢のハイエースを飛ばして返却しに行ったとか。何とか丸1日で背景撮影を完了。CGと言えば“夢の空間”になりがちだが、こんな人間くさい苦労があるので背景に生活のリアリティが出た。

 発案から制作開始、発表まで2年近くかけた、こだわりのワケは何か。それはこのプロジェクトの名前“WOW id”にある。

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