円高一服、昨日の大幅下落の反動から大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年09月01日 17時10分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株は方向感のない展開となり、外国人も売り越し、為替も円高となりほぼ横ばいで寄り付いたあとは下げない展開となりました。昨日の大幅安の割には戻りも鈍く、円高一服となった感もあり、中国やオーストラリアの経済指標も予想を上回ったのですが、買い気に乏しく冴えない展開となりました。それでも為替が円安に振れたことから後場に入ると買戻しを急ぐ動きもあり大幅高となりました。円安には振れたのですがまだまだ円高水準にあり、とりあえず売られ過ぎの反動ということでの反発だと思います。

 昨日の特に売り急ぐ理由がない中での大幅安の反動から堅調な展開となりました。追加の金融緩和を決定したところで大きく売られたことを政治の混乱を嫌気した動きと見る向きもいるようですが、そもそもが民主党政府が主導して日本経済を引っ張っていくというようなことはないのですから、特に総理大臣が誰になっても経済への影響も少ないと思います。それよりも、欧米が自国通貨安政策に出るなかで、日本の政策が見えないことが一番の問題であり、日本経済への懸念はそうした点にあるものと思います。

 もちろん、企業活動など政府主導で行うものではないというのか市場経済ですが、実際には米国の例を見てもわかるようにオバマ大統領が輸出を6倍に増やすといって見たり、バーナンキFRB(連邦準備理事会)議長がデフレはなんとしてでも阻止をする、などとはっきりと表明していることで、企業も個人も経済の面でどちらを向いていればいいのかが分かるということではないかと思います。もちろん、アメリカでも金融規制などから投機的な資金=リスク許容度の高い資金が市場からいなくなってしまい、商品相場などが低迷している面はあると思いますが、大きな方向性が見えていることで「ここまでは大丈夫」「こっち方面はOKだろう」と言う目安が出来ると思います。

 中国は中国で政治的には安定しており、、バブルを防ぐことはしても経済拡大路線に変更はなく、韓国なども内需ではなく外需で稼ごうということが鮮明になっています。日本でも金利を低くして円安にしたいのか、それとも日本に資金を流入させたいのか、それとも何もせずに市場任せ、企業任せにするのか、それすらも態度を示していないことが問題なのだと思います。今後誰が総理大臣になろうと、政策の方向性をはっきりと示し、その通りに行動することが必要なのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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