ここで先ほどの図に青い折れ線を加えた図を見てください。これは出生数を“25年分”だけ右にずらして描いた線です。つまり、赤い棒グラフのトップラインだけをつないで、25年分右にずらすと青い線グラフになります。
これにより、それぞれの年に生まれた人の数(赤い棒)と、その年に親になり始める年齢(25歳と仮定)に達した人の数(青い線)が対比できます。
親が増えれば当然子どもの数が増えます。戦後すぐの1945年直後に生まれた大量の団塊世代は、1970年以降に25歳となり、親になり始めます。だから、そのあたりで2番目の山ができているわけです。
さて、ここでみなさんも気が付かれると思います。1973年には200万人以上の団塊ジュニア世代が生まれており、彼らは1998年には25歳です。実際、1993年から2002年くらいにかけて、青い線は大きな山型を描いています。
ところが、その山の下の赤い棒グラフには山がありません。青い線で表される親は団塊ジュニア世代でかなり多いのに、子どもの数が増えていないのです。
なぜでしょう?
グラフをよく見れば分かりますよね。「2000年あたりには出生数の山はないけれど……子どもの数の減少ペースが、“急減”から“漸減”に変化している」でしょう?
冒頭でも書きましたが、直近15年くらいは出生数の減り方が“なだらか”になっています。この理由はまさに「団塊ジュニア世代が適齢期となり、親世代の人口が増えたから」です。
別の言い方をすれば、戦後すぐに生まれた団塊世代は団塊ジュニア世代という第二の“山”を作りましたが、その団塊ジュニア世代は第三の“草原”を作ってくれたというわけです。「谷を草原にまで埋めてくれた」という意味では、「ちゃんと“山”はできていた」とも言えます。
さて、赤い棒グラフに戻りましょう。団塊ジュニア世代の後のジェットコースター的な出生数の下降ラインは1978年くらいから始まっています。
ということは、1978年+25年=2003年あたりから、もっと深刻な少子化が始まっていてもおかしくないのに、実際には赤い棒グラフの数字は2003年以降も“緩やかな”減り方です。
親の世代が急激に減り始めてるのに、なぜ子どもは少しずつしか減っていないのでしょうか? やはり少子化も底を打ったのでしょうか?
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