単なる移動可能な小型浄水設備であれば特別新しいコンセプトとはいえないが、TRUNZの設備は太陽電池や小型風車を電源としている点が秀逸だ。開発途上国で利用する場合、運転費用は切実な問題であり、燃料費を全く必要としないことは強力なメリットとなる。
TSS200タイプに搭載できる太陽電池は最大出力1240ワットで、必要に合わせ発電用小型風車と組み合わせることもできる。太陽光エネルギーの豊富な地域で地下水を利用するならば1日約6000リットルの飲料水(300人の消費量に相当)を生産できる。
そこでTRUNZのセールスマネージャー、ラルス・ヴィリー氏に話をうかがった。
――まずコンセプトについて教えてください。
ヴィリー:逆浸透膜による浄水や太陽電池は新しい技術ではありませんが、これらを組み合わせて小型・コンポーネント化し、移動と設置を容易にしたコンビネーションが他社にはない特徴です。また、再生可能エネルギーは出力に制限がありますから省エネも重要なポイントです。逆浸透膜法には高い水圧が必要で、その圧力を無駄にせず再利用するシステムを独自開発しました。
――利用実績は?
ヴィリー:北米、南米、アフリカ、欧州、アジア、オセアニアまで、ほぼ全世界の30カ国で300台以上が稼働しています。特に南米のベネズエラには200台、また中東のUAEには40台を納入しました。
――ベネズエラは砂漠地帯ではないし、水不足には縁がないように思いますが。
ヴィリー:開発途上国は一般的に排水設備が整備されていませんので、河川、湖沼、地下水にしても水源が汚染されていることが多いのです。ベネズエラは政府のプロジェクトとして当社設備の導入を進めています。大きな浄水場を建設するのではなく、各地に小型の浄水設備を設置するという「浄水設備の分散化」という方針でもあります。
――先進国でも利用されていますね。
ヴィリー:サンフランシスコやイタリアなど、災害時のナショナルセキュリティーのため導入されています。今後は特に南アジア、東南アジアでの販売増を見込んでいます。
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