“就職難民”を救う動きが広がっている(2/3 ページ)

» 2010年12月01日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 生徒は採用後に、まず5日間の基礎研修を受けなければいけない。そこで来客の対応や電話の応対など、ビジネスマナーの基本を叩き込まれる。研修最終日に参加した、ある生徒は「声は自分なりに精一杯出しました。しかし緊張してしまったことが残念で、ひとつひとつの動きが震えていました。もっと自然に行動しなければいけません」と、ちょっぴり反省気味。

 基礎研修終了後、生徒は派遣先で働くことになる。派遣先は「サービス」(31.7%)が最も多く、次いで「IT・通信」(20.6%)、「メーカー」(10.4%)、「商社」(7.9%)と続く。職種は「一般事務」(34.8%)と「営業」(32.3%)が多いほか、「販売」(8.6%)、「マーケティング」(8.1%)などの仕事に就く人も少なくない。勤務地が東京の場合で平均的な給与(1日7.5時間労働、週休2日)は17万円前後だという。また生徒は、働きながらも英会話や経理といったスキルを学ぶことができる(一部有料)。

 同制度を担当している大友眞理子執行役員は「就職することが、ますます難しくなっている。新卒者と違って、既卒者は実務経験を求められるケースが多い。彼らの空白期間をできるだけなくし、1人でも多くの人の就職を支援していきたい」としている。

パソナで行われている「フレッシュキャリア社員制度」の基礎研修

既卒者を採用した企業に、奨励金を支給

 民間企業だけでなく、政府による就職支援の動きも出ている。政府は9月に「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」(トライアル雇用奨励金)をスタート。既卒者を採用した企業に対し、試用期間(3カ月間)の間は月額10万円、正規雇用後に50万円を支給するというもの。求人件数は9万4094件に対し、2661人が就職した(11月21日現在)。

 また大学などを卒業した人を対象にした「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」(採用拡大奨励金)も始めた。こちらは正規雇用での雇い入れから6カ月が経てば、企業に100万円が支払われる。求人件数1万1400件に対し、196人が就職した(11月21日現在)。トライアル雇用奨励金は何人分でも申請できるが、採用拡大奨励金は1回のみだ。

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