学習塾業界が“異種格闘技戦”になっている(1/3 ページ)

» 2010年12月03日 08時00分 公開
[今野篤,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:今野篤(こんの・あつし)

経営教育研究所代表。教育業界に16年間在籍。大手学習塾で講師、スクール・ディレクター、スーパーバイザー、FC部門を歴任。教育ベンチャーの立ち上げ、経営修士号取得を経て、2009年に経営教育研究所を設立。次世代教育の探求と経営コンサルティングで活動中。


 今後の学習塾市場では、少子化の加速により学齢人口の減少は続くと推計されているが、その一方で1人当たりの教育費は上昇している。リーマン・ショック後、教育費は一時的に下がったものの、今後は上がっていくものと思われる。

 この背景には、1家庭当たりの子どもの数が減少していることから経済的余裕が生まれ、1人の子どもを大切に育てる傾向が強まっていること。また、保護者の学歴(特に母親)の高さが教育熱を高め、教育の多様性を生んでいることが挙げられる。そのため、「子ども人口減少=学習塾衰退」や「塾倒産時代到来」などと一部では騒がれているが、単にそうなるとは限らないだろう。

 学習塾業界にM&Aの大波が押し寄せていることは確かだが、そこにも2つの理由がある。1つは従来からある塾同士での争いだ。市場の寡占化に伴い、生き残りをかけた戦いがこれに当たる。もう1つは少子化にもかかわらず、教育の多様化により市場のすそ野が広がっており、そこに参入を図る企業が続出しているからだ。現在、乱戦模様となっているその戦いを、6つに分類して考察してみた。

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