利益確定売りに押されて上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年12月08日 08時38分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11359.16▼3.03

<NASDAQ>2598.49△3.57

<NY為替>83.52△0.84

減税継続を好感して買われたが、利益確定売りに押されて上値の重い展開

 今年末で失効する大型減税(「ブッシュ減税」)の2年間延長が合意したと伝えられたことが好感されて買い先行となりました。欧州金融不安も薄れ、景気回復を織り込むように商品相場なども堅調となりましたが、米国景気回復が期待されると今度は金融緩和の継続性を疑問視するような動きから利益確定売りもあって、ダウ平均は軟調となりました。金先物や原油の先物市場なども目先的な過熱感から利益確定売りに押され、インサイダー取引の調査が拡大したとの報道を受けて、最後は売り急ぐ展開となりました。

 インサイダー取引の問題や目先的な過熱感はあるものの、基調は強含みと見ても良いものと思います。ドル安効果や金融緩和効果からの企業業績の回復、そして企業業績の回復が米国内の雇用や消費の回復に繋がるのかどうかを見極めるという状況なのだと思います。個人消費の回復が確認されると今度は金融緩和の「出口戦略」やインフレが懸念されるのでしょうが、個人消費の回復が期待されているうちは堅調な展開が続くものと思います。

 個別には米政府が保有する普通株をすべて売却したと発表したシティグループが大幅高となり、欧州金融不安も薄れたのですが、手仕舞い売りに押されてJPモルガン・チェースなど金融株は軟調となりました。景気回復期待が強まったことから、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株は堅調となったのですが、インテルやIBMなどハイテク銘柄は軟調なものが見られました。原油価格が一時2年ぶりの高値をつけたことでエクソン・モービルやシェブロンといった石油株は高くなりました。ただ、金鉱株は金先物価格も一時高値更新となったのですが、インフレ懸念が強まったことで、手仕舞い売りに押され、パブリック・ゴールドなど金鉱株も軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日に続き方向感のない展開となりました。米国市場など海外でも手掛かりに乏しいと言うか、強弱感が対立して経済指標の発表などに反応しきれず、目先の持ち高調整が中心となっているような感じで終始方向感のない冴えない展開となりました。外国人が買い越し基調ということもあり、売り急ぐ動きもないのですが、積極的に買い上がるだけの材料にも乏しいということなのでしょう。

 米国市場は上値の重い展開となりましたが、日本市場は目先的な過熱感が依然として強く、上値も限られるものの堅調な展開が期待されます。海外市場で最後は利益確定売りに押されたとは言え、商品相場なども基調は強く、為替も米ドル、ユーロともに堅調となっていることも円高を懸念して買い切れなかった銘柄などの買い直しにつながってくるものと思います。輸出株などもまだ目先的な過熱感が冷めたわけでもなく、疑心暗鬼な相場のなかでは戻りも限られそうですが、少なくとも売り急ぐことはなさそうで、総じて底堅い堅調な展開となるものと思います。円高で慎重な収益見通しを示した銘柄などを買い直す動きが見られるのでしょう。

 指数は引き続き上値の節目である10200円〜300円水準を試す動きとなりそうです。昨日の相場でもとりあえず10100円台での底堅さは見られており、上値の節目を抜けるというよりは上値の節目水準でのもみ合いとなるような水準訂正の動きとなるのかもしれません。朝方発表される機械受注が予想に反して前月比でプラスとなるようであれば、10200円台を固めるような動きとなるのかもしれません。当面は10200円〜300円水準を抜けるのかどうかが注目されそうです。

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