「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”」
日本の政治状況は相変わらず厳しい。菅政権は2011年度予算を成立させることができるのか、6月までにはと期限を切ったTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加の基本方針や税と社会保障の基本的考え方をまとめることができるのか。この2つだけでもかなりハードルが高いのだが、外に目を向ければ日本の将来像を左右する大問題がある。
もちろん北朝鮮の核問題も極めて重要な問題に違いないが、もっと頭が痛いのは中国である。中国国家統計局が1月20日に発表するGDPにより、中国は世界2位の経済大国になる
可能性が高い。しかし、昨年からその中国に対する警戒感が全世界的に強まっている。
尖閣諸島近辺で中国漁船が日本の巡視船に衝突した事件でも、中国側のあまりにも強硬な姿勢に、多くの日本人は不快感と同時に不安感を覚えた。同じように、アフリカのザンビアで起きた中国人鉱山経営者による労働者の銃撃事件に対しても、アフリカ諸国は何となく不安を感じているという。
1月18日から中国の胡錦濤主席が訪米する。オバマ大統領が中国を初訪問したときには、決して友好的な雰囲気とは言い難かった。オバマ政権はそれから台湾への武器売却に踏み切り、それを受けて中国側は軍事交流を停止。今回のゲイツ長官の訪中はその修復のためだったが、そこにぶつけるかのように対艦ミサイルやステルス戦闘機を公開した。もちろん軍事以外でも通貨や貿易で両国のつばぜり合いが続き、米中関係はここ10年で「最も悪い」とさえ言われている。
新聞報道によると、中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表は、ステルス戦闘機や空母建造で中国が批判されることにこう反論したという。「第二次世界大戦当時は米国も日本も多くの空母を持っていた。中国は今も空母を持っていない。1つ作ってもおかしいことではない。通常の武器だ」
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