コラム
» 2011年01月17日 08時15分 UPDATE

藤田正美の時事日想:巨大な隣人・中国と、どのように付き合えばいいのか (2/3)

[藤田正美,Business Media 誠]

 この発言が事実なら、ちょっと耳を疑ってしまう。第二次世界大戦前は、欧米列強や日本は領土的な野心と権益を確保に走っていた。そのために軍拡競争が続き、日本は自らの防衛線を拡大しようとして、満州から中国に進出したのである。それがいかに悲惨な結果をもたらしたか、知らぬ者はいない。

 軍備拡張の中で空母というのは特別の意味を持つ。海上を自由に移動する戦闘機の基地である空母は、現在でも重要な戦略兵器だ。世界で最も強力な空母戦闘群を保有する米国が、世界の海の制海権を握っていると言っていいかもしれない。それが米国の影響力の1つの源泉であることは疑いないが、多くの国がそれによって脅威を感じているわけではない。中国人民解放軍海軍の空母機動部隊がそこに割り込んでくれば、その意味での軍事バランスは崩れてくる。

 もちろん世界の超大国になりつつある中国は、米国中心のバランスをむしろ崩したいと考えているのかもしれない。米中二極化ということになれば東アジアの中国支配は強まるからである。もちろん東シナ海、南シナ海における海洋権益を妨げる国はなくなる。2年ほど前だったか、中国人民解放軍海軍の司令官が「海外における中国の権益を守るために空母を建造する」と語ったことがある。

「海洋国家」へと変貌しつつある中国

 世界が不安を感ずるのはこの「海外の権益を守る」ために軍事力を強化するという発想だろう。日本の自衛隊もソマリア沖の海賊対策に自衛艦を派遣した。しかしこれは日本の権益を守るためではない。商船を海賊から守るためであり、国際的な枠組みに基づくものだ。中国はかつて「大陸国家」だったが、今では「海洋国家」へと変貌しつつある、というより、変貌することを余儀なくされている。

 食糧やエネルギー、鉱物資源など、海外に依存する割合が急激に高まっているからだ。世界第1位の自動車市場になった中国が、エネルギーをさらに消費する国になることは明らかだし、そのエネルギーは中東やアフリカから船で運ばれてくる。それだけに「シーレーン防衛」が重要だというわけだ。

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