どのように働けばいいのか? 事業部制という罠吉田典史の時事日想(3/4 ページ)

» 2011年01月21日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

 林さんは、いまや大企業の事業部制は2つのパターンに分かれつつある、ととらえている。

(A)完全事業部制の下、それぞれの事業部が1つの小さな会社のように独立した形になり、社員はほかの事業部への異動が難しい。

(B)事業部制ではあるが、あくまでグループとして社員を雇い、雇用を守ろうとしている。ほかの事業部への異動もあり、それに伴った人材育成もされている。

 そして(A)タイプの会社では、雇用は安定しないだろうと分析する。「完全事業部制は、マイナスの効果が大きい。1つの事業部がダメになったから、そこの社員をリストラする。これだと雇用責任を果たしているとは言い切れない」

 この意見には、私も同感だ。就職や転職を考えるならば、(B)タイプの大企業に行くことを勧めたい。ただし、この10数年、知識や技術の陳腐化のスピードは早まっている。IT業界などは、その象徴といえる。さらにグローバル化の流れも止まらない。

 そうなると、ある領域の仕事がそのまま海外に行ってしまうことがある。これはブルーカラーに限った話ととらえるのは、1980年代後半のころに議論されたままの認識である。例えば半年ほど前に取材した大手会計コンサルティング会社でいえば、翻訳部門15人ほどの分の仕事が、中国などに移った。その人たちは、それを機に退職勧奨を受け、辞めざるを得なくなった。

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