TwitterやFacebookで呼びかけ――アラブの政変は何に対する戦いなのか?ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)

» 2011年01月31日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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アラブ政変の動きを見守る中国

 さて、今回の動きを世界で最も深刻に見守っているのは間違いなく中国でしょう。彼らがYoutubeからFacebookまで幅広くネットのサービスを禁止・抑制しているのは、まさにこういったネットワークにそういう力が備わっていることを理解しているからです。

 アルジャジーラは、中国がすでにインターネット上での“Egypt”という言葉の検索に制限をかけたと報じています。脇の甘いアラブ諸国とは警戒感が違います。さすが天安門事件の経験者。

 しかし、今回の騒動を見る限り、中国も安泰とは言えません。海外在住(経験)の中国人も急増している中、いつまでこんなことが続けられるのでしょう。国が国民のネット接続を広範に規制し、見られる情報を国家の都合のいいように限定している……。そんな国が、そんな体制が、本当にまだ10年も20年も維持できると私たちは信じられるでしょうか?

 中国は、経済発展をテコに民主化勢力を押さえ込んできました。「毎年、生活は豊かになるのだから、民主化はちょっと待ってくれ」ということでした。

 しかし、いったん何かが起これば、人口も都市部の知識層の数も半端ではない中国でも、極めて短期間の間に政権転覆が起こるかもしれません。

 もしそうなったら?

 長期政権は、たとえ独裁的、非民主的であっても、それなりに安定しています。チュニジアで政変が起こりエジプトでムバラク体制が崩壊して、今後のこれらの国の政情が少々不安定になっても、日本への影響は限定的でしょう。

 しかし、中国で政変が起こったら? 共産党独裁政権が倒れたら?

 スムーズにすぐに次の政権が樹立され、民主的な選挙が行われるのでしょうか? 内戦が起こったり、独立運動が勃発して大量の難民が発生しないでしょうか? 一体誰が、どんな人が民主化中国の、新生中国のリーダーになるのでしょう?

 万が一、一時的にでも中国のあちこちで無政府状態が発生したら、日本企業、日本への影響は恐るべきモノとなるでしょう。そこに進出している多くの日本企業はどうなるのか? 中国に住む日本人の安否や財産は? 毎日毎日、輸出・輸入されている大量の物資は滞りなく流通するでしょうか? 中国から人が押し寄せる可能性は?

 ……何だか大変なことが起こっている、と思うのです。

 そんじゃーね。

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著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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