コラム
» 2011年02月23日 08時00分 UPDATE

野島美保の“仮想世界”のビジネスデザイン:“暇つぶし”とは何か――ゲーム中でも「暇だ」と思う理由 (2/3)

[野島美保,Business Media 誠]

ユーザー・アンケートを実施

 暇つぶしの意味を知りたいと思い、2008年にカジュアル・オンラインゲームのユーザー・アンケート調査を行った(中山隼雄科学技術文化財団・研究助成プロジェクト)。当時は、ソーシャルゲームができる前で、モバゲーなどの携帯ゲームがはやり出したころであった。つまり、ここでいうカジュアル・オンラインゲームとは、ソーシャル要素が全面的に導入される前のパズルなどのミニゲームを指す。

 2693人に対して行った1次調査では、PCと携帯のゲームに分けて、そのプレイスタイルについて質問した。その結果、PCゲーム利用者よりも携帯ゲーム利用者の方が、「暇つぶしのためにプレイしている」と答えた人が多かった。

 さらに、暇つぶし目的でプレイしている人の動向をみてみると、余暇時間はまちまちであった。余暇時間とは、1日のうちでPCや携帯サイトの閲覧に割くことのできる自由な時間を自己申告してもらったものだ。暇つぶしというと、単純に「余暇時間が長い」と思われがちだが、実は時間とは直接的な関係がないことが分かった。

時間に関係なく暇だと思う理由

 「時間があるからゲームをする」という単純な図式ではないと分かり、2次調査を開始した。今度は人数を184人に絞って、ゲームで暇つぶしをする状況について、自由作文をしてもらった。その作文に出てくるキーワードを抽出して分析した結果が、次の図である。

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 最も多いキーワードが「待つ」というものであり、電車や病院など待つ状況を示す言葉と同時に使われる。第2のキーワードは「時間」である。「時間が余る」「時間を持て余す」「時間が中途半端」という文脈で使われる。第3は「仕事・家事」などの動作の終了や動作の合い間を示すキーワードが抽出された。第4に「見るテレビ番組がない」というように、消費すべきほかのコンテンツがないことが指摘された。

 こうしてみると、確かに暇つぶしは「待つ」「時間」というキーワードで説明されることが多いが、第1から第4まですべての共通点を推考すると、時間概念とは違うものが浮かんでくる。つまり、「本来やりたい活動ができないという制約」である。

 第1のキーワード「待ち時間」は、時間が余っていることのほかに、本来すべき行動ができないという制限を示している。通勤電車や病院の順番待ちなど、場所によって行動が制約されている。第2のキーワード「時間」は、時間が十分にある状況ではなく、むしろ本来すべき活動を割り当てるには短く中途半端な時間であることを指している。時間はあふれているのではなく制約されているのである。第3のキーワードの「仕事・家事」は、本来すべき活動として仕事や家事を行っている最中なのだが、それを続行するだけの気力が足りないという制約を示す。だから、気力を取り戻すために暇つぶしが必要になる。第4の「テレビ番組」は、暇つぶしになるコンテンツとしてアクセス可能なものが制限されていることになる。

 つまり、時間自体が余っているのではなく、本来すべき活動ができない制約からくるフラストレーションに起因する。これが、この調査から得られる仮説だ。

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