世にも不愉快なエレベーター(1/2 ページ)

» 2011年02月23日 08時00分 公開
[松尾順,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)

早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。


 最近オフィスを移転されたクライアントのビルは、エレベーターのドアがガラス張りになってます。つまり「シースルー」なのですが、これが何ともバツが悪い状況を生み出すのです。

 それは何かというと、先方との打ち合わせが終わると、クライアントの担当がエレベーターのところまでお見送りに来てくれるわけです。そして、「ありがとうございました」などと言いながら、お互い、エレベータのドアが閉まるタイミングで頭を下げる。

 そこまではいい。

 で、頭を上げると、ガラス越しにまた相手と目があってしまう。その時、どんな表情をすればいいのか分からない(笑)。何となく恥ずかしげに片手を軽くあげたりして。

 つまり、オフィスビルで、エレベーターをシースルーのガラス張りにしてしまうのは、ちょっと落ち着かない感情を生み出しやすいので、あまり好ましくないということが分かりますね。

 次に、東京駅・丸ビルのエレベーター(ショッピング・レストラーンゾーンのもの)。こちらは、ちょっとイライラさせられる設計になっています。

 何かというと、最近のエレベーターではたいてい付いている、「カゴが今どのあたりを動いているか」という表示がないのです。ですから、エレベーターの前にいても、いつ自分の階にカゴが来るのかまったく予測できない。

 最近、都内のバス停では、「次のバスが今どこの停留所あたりにいて、到着までおよそあと何分か」という表示がありますよね。あんな機能があると、10〜15分待たなければならないとしても、心理的にはイライラせずに待てます。

 ところが、丸ビルのエレベーターは、実際の待ち時間はわずか数秒、数十秒かもしれないですが、「いつ来るか分からない」という状況が軽いイライラを生み出してしまうのです。実際、私だけでなく、エレベーターを待ちきれずに、すぐ後ろにあるエスカレーターに乗る人をよく目撃します。

 ひょっとして、エスカレーターを使わせて、店内を回遊させるための意図的な設計ではないかと思ってしまうほどです(笑)。

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