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» 2011年03月10日 12時03分 公開

NHK記者が語る、“無縁社会”の正体(2/4 ページ)

[土肥義則,Business Media 誠]

無縁化している人は4万人弱

 介護保険や生活保護を利用せずに、無縁化している人はどのくらいいるのか。この統計がない数字をあぶりだし、問題提起したい、という思いが強かった。少なくとも無縁化している人がこのくらいいる、ということを視聴者にイメージしてもらいたかった。

 そこで全国にある地域包括支援センター(センター)にアンケートをお願いすることにした。アンケートではこのような質問をした。「1人暮らしで、介護が必要な状態なのにもかかわらず、行政のサービスを受けていない人をどのくらい把握していますか?」と。あるセンターでは実態を把握しておらず、「0人」と回答した。その一方できちんと調査していただき、具体的な数字を挙げてもらったセンターもあった。最終的には全国の80%のセンターに回答していただき、無縁化している人は「3万8000人」という結果が出た。

 この数字は氷山の一角にすぎないが、4万人近くの人が孤立している現状がうかがえた。無縁化している人はどういった理由で、行政サービスを受けていないのだろうか。この質問をしたところ「他人に迷惑をかけたくない」との答えが最も多かった。次いで「経済的な負担が大きい」、「認知症などを患っているため、サービスの内容が理解できない」といった回答が目立った。

ゴミ屋敷の中で暮らす

 無縁化している背後にはどんな問題が存在しているのだろうか。行政サービスが必要な人にはサービスを提供しなければいけない。しかしセンターによると、多くの人は「家族から拒否されている」という。

 現場を取材してみて、「認知症などでサービスの内容が理解できない」といったケースが深刻に感じた。夫婦ともに認知症を患っている家にお邪魔したところ、家の中はゴミ屋敷のようになっていて、お互い介護ができていない状態だった。玄関の外にはウジ虫が湧いていて、玄関に入るとゴミの異臭が漂っていた。

 センターは「なんとかしてこの夫婦にサービスを提供したい」と思い、その夫婦の家族を探した。そして奥さんの親族が神奈川県に住んでいることが分かり、連絡をとることに。するとその親族からはこのような返事が返ってきた。「私には関係ありませんから、そちらでやってください」と。センターは何とかして行政サービスにつなげたいと試みているが、その夫婦は今もゴミ屋敷の中で暮らしている。

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