コラム
» 2011年04月19日 08時00分 公開

松田雅央の時事日想:放射性物質の“流れ”は公表できません――気象庁の見解は世界の“逆流” (2/3)

[松田雅央,Business Media 誠]
オーストリア気象・地質局(ZAMG)の放射性物質拡散シミュレーション。ヨウ素131の予想濃度を5色に色分けしている。図は4月15日時点で16日の濃度をシミュレーションしたもの。最新のシミュレーションはこちら(出典:ZAMG)

気象庁からの回答

 気象庁総務課広報室から書面(メール)による回答(4月11日)をいただいた。なお、質問・回答とも、前回の内容と重複する部分は割愛している。

質問:ドイツ、オーストリアのWEBサイトではカラーの図とアニメのシミュレーションを掲載しています。日本でもこういった資料を参考にしたいという人は多くいますが、注意事項を併記した上で同様のシミュレーションを開示するという選択肢はないのでしょうか?

 率直に書いて、ドイツ、オーストリアで掲載されているような分かりやすい情報をなぜ気象庁のWEBサイトで見ることができないのか腑に落ちません。

 ただし「こういったカラー図やアニメーションを掲載すると問題が生じる」ということであれば話は別です。そういった問題があるならば、具体的にお教えいただけないでしょうか。

回答:このホームページは、IAEAからの要請に基づき気象庁がIAEAに報告した内容を、情報公開の観点から、そのまま公表するものです。(計算結果を見る上での注意事項は下記参照)

(出典:気象庁)

 日本は3月11日に内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部を設置して、政府一体となって今回の原発事故に対処しています。このうち、放射性物質による環境への影響予測情報は文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)により作成・提供することとされており、既に原子力安全委員会を通じて試算結果が公表されています。(気象庁が保有する気象データはSPEEDI※の入力データとして使われています。)

※SPEEDI:放出核種の種類、量、気象条件等のデータを入力して、被ばく線量等を計算により予測するシステムとして開発されたものであり、文部科学省と原子力安全委員会が連携し、国内の原子力事故における緊急時対応に用いるもの。

 また、我が国においては、各地で測定された放射線モニタリングの結果(実測値)が文部科学省をはじめとした関係機関から随時発表されており、日々の実測値による放射線量の国民周知が進んでいます。このように、今回の事象について気象庁がIAEAに報告した計算結果は、日本政府や地方自治体、あるいは住民1人1人の判断や行動に役立つものとは考えておりません。

 以上のことから「拡散予測のカラー図」や「拡散予測の簡易アニメーション」をホームページに掲載する予定はありません。

質問:分解能の荒さは周辺諸国を含めた広範囲の状況を知る目的では問題になりません。周辺諸国に対する情報提供のためにも掲載の意義は大きいと思いますが、いかがでしょう。海外の公的機関が発表していることを、当事者である日本が発表しないというねじれた状況は、周辺諸国のフラストレーション、さらには不信感を高めることにならないでしょうか?

回答:各RSMC(地区特別気象センター)からIAEAに報告された計算結果は、関係各国にも提供されています。これに基づき、周辺諸国をはじめ各国において適切な原子力防災対応を取ることができます。各国の国民に向けた原子力防災に関する情報提供のあり方は、それぞれの国の判断と考えています。

質問:ドイツ気象局のWEBサイトには広報課のページがあります。日本気象庁のWEBサイトにも広報課のページはあるのでしょうか? あるならば、お手数ですがお知らせください。ない場合、そういったページを設ける予定はないのでしょうか。

回答:気象庁広報室のページはありません。また、広報室専用のページを設ける予定はありません。なお、今回ご質問をいただきましたように、気象庁に対する行政の窓口は「気象庁に対するご意見・ご感想」のページで対応させていただいています。(連絡先は割愛)

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