長期債務格付けの見直しや芳しくない住宅指標などを受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年04月19日 08時12分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9556.65▼34.87

<TOPIX>836.34▼4.95

<NYダウ>12201.59▼140.24

<NASDAQ>2735.38▼29.27

<NY為替>82.65▼0.47

長期債務格付けの見直しや芳しくない住宅指標などを受けて大幅下落

 米国の巨額の財政赤字を背景に格付け会社が米国の長期債務格付けを弱含みとしたことや住宅市場指数が予想を下回って低下したこと、また、欧州金融不安も取りざたされて信用収縮の動きで原油先物などが売られたことから、株式市場も売り先行、手仕舞い売りや見切り売りが嵩んで大幅安となりました。さすがに売り一巡後は買い戻しも入り指数も下げ幅縮小となりましたが、財政赤字などQE2(量的緩和)終了後の課題が改めて示されたことや住宅関連の回復の遅れが景気回復鈍化懸念となって嫌気されたものと思われます。

 金融緩和や財政支援で景気回復基調は変わらないものの、景気の底からの回復が確認されつつあることで、今度はその金融緩和や財政支援が問題として取り沙汰されるようになりました。欧州金融不安も未だにくすぶっており、中国など新興国のインフレ、日本の大震災の影響や原子力発電所問題なども信用収縮、リスク許容度の低下につながる懸念があるのですが、まだ金先物価格が堅調となっていることもあり、大きな信用収縮につながることはなく、景気回復を織り込む動きは続くのだと思います。

 個別には決算発表が本格化するなかで、イーライリリーやハリバートン、シティグループと予想を上回る決算を発表するものが多かったのですが、軒並み軟調、あるいは横ばいと市場全体の下落に連れて冴えない展開となっています。原油価格が下落となってエクソン・モービルなど石油株も安く、金価格が堅調となったことでパブリック・ゴールドなど金鉱株は高くなりました。キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄も安く、アップルは堅調となったのですが、インテルやIBMなどハイテク銘柄も軒並み軟調となり、欧州財政不安に米国の財政赤字が取り沙汰されたことで、バンク・オブ・アメリカが大幅下落、JPモルガン・チェースなど金融株も軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は手掛かり難の中、小動きとなりました。原子力発電所事故の収束に向けての工程表が発表されましたが、改めて好感するような動きもなく、中国の利上げを嫌気する動きもなく、為替動向や米国市場動向への反応も鈍く、冴えない展開になりました。幕間つなぎ的に物色される銘柄も見られたのですが物色対象が広がると言うよりは、値動きの良い銘柄が物色されているだけと言うことで指数に方向感は見られませんでした。

 米国株が大幅下落となったことや大きく円高が進んだことから日本市場も売り先行となりそうです。ただ、大震災からの復興や原子力発電所事故の収束に左右される相場では米国市場同様に改めて売り直されると言う状況も少なく、また、円高に対しても債券が買われて長期金利が低下するような状況であれば、一概に売り要因とも言えず、底堅さも見られるものと思います。ハイテク銘柄や自動車株などは「泣きっ面に蜂」と言うような状況かもしれませんが、内需の復興が期待される局面では相場全体に底堅さも見られるものと思います。

 節目と見られる9500円〜600円水準での動きが続いています。円高に振れたことや米国株安もあり、この水準を下回る場面もあるのかもしれませんが、シカゴ市場(CME)の日経平均先物の終値(9490円)も時間外取引でも9500円を割り込んだ水準では下げ渋っており、9500円を割り込むところからは売り一巡感も出て来るのだと思います。「日本売り」から「日本への資金移動」となり債券が強含むようであれば引き続き9500円〜600円水準での下値固めとなるのでしょう。

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