若者よ、ストップモーションから抜け出そう!――夢を応援基金CM郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2011年06月09日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

ストップモーションへのこだわり

 後藤さんの企画書はコマ割りされた構成をたどるだけで、CMイメージがヴィヴィッドに湧いてくる傑作。ローソンスタッフも広告会社も「これでいきたい」と一致した理由はよく分かる。彼も20代の若者だからこそ、共感できる映像のコンテを創れた。

CMのコンテ

 コンテの最後は夢を応援基金の鉛筆ロゴの入るシーンである。制作決定から日が浅い5月15日、日曜日、このラストシーンから撮影が開始された。青い空、青い橋をバックに、朝日いっぱいの茅場町で上を向くのは、俳優の石崎直さん。初々しい真っ直ぐな瞳が印象的な彼自身、現役高校生である。

 このシーンを撮り終えると、撮影スタッフは郊外の公立中学校へ。出演者はすべて現役高校生や専門学校生(専門学校風景はヒコ・みづのジュエリーカレッジ)。CM前半に流れる『がんばれ』のメロディは、音大生が音楽室で演奏し、音が校内に漏れて聴こえるように廊下で録音。だがCMに漂うナチュラルさは、それだけではない。

 生徒たちのストップモーションは静止画像を使っているのではなく、みんな実際に止まっているのだ。屋上の空手女子は腕を振り上げたまま、校庭の男子はももを上げたまま、朗読する女子生徒は口を開けたまま止まった。環境は動いていくのに人だけが止まったことを表現するため、監督がこだわった。

 石崎直さんは吊るしたローソンブルーの特注鉛筆を右手でつかむシーンを、20回以上リテイクしたという。何しろ彼は左利きだから、許してあげたい。

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